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コントロンがアジアビジネスを強化へ日本法人を新設ビジネスニュース 企業動向

コントロン(Kontron AG)は2014年7月、日本国内での事業拡大を狙って、日本法人「コントロン・ジャパン」を設立した。同社では、日本法人の設置の他、中国などアジア各地での事業体制強化を図り、全社売上高に占める日本を含むアジア地域売上高比率を現状の5%から30%超へ早期の引き上げを狙う。

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 コントロン(Kontron AG)は2014年7月、日本国内での事業拡大を狙って、日本法人「コントロン・ジャパン」を設立した。同社では、日本法人の設置の他、中国などアジア各地での事業体制強化を図り、全社売上高に占める日本を含むアジア地域売上高比率を現状の5%から30%超へ早期の引き上げを狙う。

「世界2番手」

 コントロンは、ドイツ・ミュンヘンに置く、組み込みボードコンピュータメーカー。1999年に自動車メーカーBMWから独立する形で創業して以来、品質の向上や各種ボートコンピュータ規格への対応に重点を置き、事業を拡大させ、「現状、組み込みボードコンピュータの世界市場で、シェア2番手の位置にある」(同社CEOのRolf Schwirz氏)とし、直近の年間売上高4億4500万米ドルを誇る。


左からRolf Schwirz氏、Michael Vaeth氏、林曉氏

 ただ一方で、コントロンの地域別売上比率をみると、地元欧州が49%、北米が46%を占め、電子機器の最大消費市場であるアジア地域は5%にとどまっている。台湾系の有力な組み込みボードコンピュータメーカーが存在するアジア市場とはいえ、極端に欧米に偏った事業構造となっている。

 Schwirz氏は、「これまで、アジアに対して十分な投資を行わなかったことが、アジアでの事業規模が小さかった原因」と分析する。実際、日本市場においても、販売代理店に事業を任せ、直接的なビジネス展開は実施してこなかった。

新生・コントロン

 この状況に対し、Schwirz氏以下、現経営陣となった2013年1月以来、「新生・コントロン」を掲げ、さまざまな事業の見直しに着手。これまで、投資を行ってこなかったアジア地域での事業基盤強化に着手した。今回の日本法人の新設もその一環であり、「従来の日本国内の販売代理店へのサポートはもちろん、より本格的なサポートの提供などを通じ、日本での事業規模を拡大させる」(日本法人ゼネラル・マネージャーを務める林曉氏)という狙いを持つ。

 日本でターゲットにするのは、産業機器分野、通信機器分野、航空/防衛分野、医療機器分野といった“新生・コントロン”が重点を置く分野と同じ。Schwirz氏は「ドイツと日本は似通った市場」と、日本での事業拡大に自信をみせる。

 コントロンは、台湾系のボードコンピュータメーカー各社がコスト競争力のある標準品を得意とする中で、顧客要望に合わせたカスタマイズ力で存在感を強めてきたという。そして、新生・コントロンは、組み込みボードコンピュータ製品を組み合わせたシステムレベルでのカスタマイズ提案力、開発力を強化し、事業成長を図る方針で、「日本でもシステムソリューション型の事業を広げていきたい」(上席副社長 Michael Vaeth氏)とする。

 システムソリューション型の事業の一例として、Schwirz氏は、旅客機向けのエンターテイメントシステムを挙げる。Vaeth氏は、「既に3000機の航空機での採用が決まった」というエンターテインメントシステムは、自社のボードコンピュータや無線LANアクセスポイントなどを組み合わせて構築する無線型のエンターテインメントシステム。Schwirz氏は、「有線型が主流の中で、軽量で、安定したエンターテイメントシステムが構築できるソリューションとして、順調に採用が増えてきた事例。航空機向け以外でも、ファクトリーオートメーション分野や医療分野に向けて当社製品を組み合わせたシステム提案が行えるものが増えている。日本でもぜひ、ソリューション型のビジネスを広げていきたい」とする。

企業買収も含め積極投資へ

 Schwirz氏は、「アジアの売り上げ比率を30%以上にするためには、大きくビジネス規模を拡大させる必要がある。現時点で、具体的な案件などは一切ないが、企業買収なども必要になってくるだろう」とし、アジアでの事業規模拡大に向けて積極投資を行う方針も明かした。

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