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デンソーと新日本無線がオーディオ用SiCデバイスを共同開発――2015年後半に生産へビジネスニュース 企業動向

新日本無線とデンソーは2014年10月、SiC(炭化ケイ素)を用いたオーディオ用半導体デバイスの共同開発を行うことで合意し、既にプロトタイプを製作したと発表した。両社は、今後評価を進めるなどしオーディオ用SiC-MOSFETを2015年後半にも量産する計画。

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「MUSES」ブランドで電源用MOSFET

 新日本無線とデンソーは2014年10月16日、材料としてSiC(炭化ケイ素)を用いたオーディオ用半導体デバイスの共同開発を行うことで合意し、既にプロトタイプを製作したと発表した。両社は今後評価を進めて、オーディオ機器の電源回路向けSiC-MOSFETを2015年後半にも量産する計画。

 新日本無線とデンソーの両社は車載用半導体分野で協力関係(関連記事:新日本無線がSJ-MOSFETを量産へ、デンソーの技術でオン抵抗を半減)にあり、これをオーディオ用半導体にも拡大するもの。具体的には、新日本無線が有するオーディオ用高音質半導体デバイス技術と、デンソーの持つ6インチSiCウエハーによるデバイス製造技術「REVOSIC」を組み合わせ、SiCによるオーディオ用MOSFETの実現を目指す。

 新日本無線は、これまで「MUSES」(ミューズ)のブランド名で、主にシリコンを用いた高音質に特化したオーディオ用オペアンプ、電子ボリュームを展開するなどしてきた。

 一方のデンソーは産業機器や車載機器向けにSiCデバイス技術を構築。産業機器/車載機器以外でのSiCデバイス技術の応用を検討していた(関連記事:デンソーがSiCデバイスの外販を本格化、「REVOSIC」ブランドで展開)。


新日本無線の高音質オーディオ半導体シリーズ「MUSES」(左)と、高品質、低損失を特長としたデンソーのSiC技術「REVOSIC」のロゴ

既にSiC-SBDは製品化済み

 オーディオ用半導体デバイスに、SiCを用いる試みは、既に新日本無線が自社のSiCデバイス製造技術を用いて電源回路向けのSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)「MUSES7001」を製品化することで実施済み(関連記事:オーディオ専用の“SiCダイオード”を発売)。「SiCが音質向上に有効であることを実証した」(新日本無線)という。

 両社の共同開発は、オーディオ用SiC-MOSFETの製品化を狙うもので、既にSiC-MOSFETによるオーディオ機器電源回路用パワーアンプの試作を行い、試聴評価を実施している段階だという。新日本無線では「(試聴評価で)比類のない音質が得られていることから、近年のハイレゾオーディオ市場に大きな貢献を果たせるものと確信している」としている。


既に試聴評価段階にあるオーディオ用SiC-MOSFET「MUSES7011」。パッケージは、TO-247 (クリックで拡大)

前工程はデンソー

 両社は今後、オーディオ用SiC-MOSFETをMUSESブランドで製品化し、2015年前半にもサンプル出荷を行い、2015年後半から量産する予定。製造は、前工程をデンソーが担当し、後工程は新日本無線が実施する見込みで、販売は高級オーディオ機器やプロ用オーディオ機器向けに新日本無線が行う。

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