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脳波で意思を伝える、まひ患者でも「寝返り」や「飲み物」のリクエストが簡単にBioJapan 2014

産業技術総合研究所は「BioJapan 2014」で、脳波で意思を伝える「ニューロコミュニケーター」を展示した。重度の運動機能障がいを持つ患者との意思疎通を、より円滑にできると期待されている。

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 産業技術総合研究所(産総研)は「BioJapan 2014」(2014年10月15〜17日)で、脳波で意思を伝えるBMI(Brain Machine Interface)の装置「ニューロコミュニケーター」の試作品を展示した。小型の電極/センサーを8カ所に搭載した専用のヘッドギアで脳波を計測し、独自に開発したアルゴリズムを用いて解析する。

 ニューロコミュニケーターは、産総研のヒューマンライフテクノロジー研究部門 ニューロテクノロジー研究グループが、非侵襲(身体に傷を付けない)で頭皮上脳波を計測するために試作開発を行ってきたもの。進行性の神経難病や脳血管障がいなどが原因で重度の運動機能障がいを持つ患者が、より正確に、より簡単に意思表示ができるようになることを目指している。

左=「ニューロコミュニケーター」の専用ヘッドギアを装着した様子。ニューロコミュニケーターの1号機は2010年3月に発表されている。右=ヘッドギアを前から見たところ。脳波のデータを送る送信機が付いている(クリックで拡大)

 ニューロコミュニケーターは、「寝返りを打ちたい」「お茶が飲みたい」など、あらかじめ用意された選択肢の中からユーザーが伝えたい内容を選べるようになっている。ユーザーの前に置かれたモニターには8個の選択肢がイラスト(以下、アイコン)で表示されていて、その中から1つを選択する。その動作を3回繰り返すことで、最大512種類(8×8×8=512)のメッセージを伝えることができる。「体のケア」→「姿勢」→「寝返り」、「飲食する」→「飲み物」→「コーヒー」、といった具合だ。メッセージは、人工の音声とCGアニメで外部に伝えられる。

 この“選択する”という作業に脳波を利用するところが、ニューロコミュニケーターの肝になる。ユーザーは、8種類のアイコンのうち、自分が望む項目に意識を集中させる。アイコンはランダムで何度か光るようになっていて、意識を集中させているアイコンが光ると、脳波のパターンが変わる。そのパターンを手掛かりにして、ユーザーが望んでいる選択肢を推定していく仕組みだ。意識を集中させている時の脳波のパターンには個人差があるので、パターンを判別するための基本となる脳波は、あらかじめ取得しておく。研究グループ長を務める長谷川良平氏は、「アイコンを脳波で押すようなイメージ」と述べている。

左=8種類の選択肢(イラスト)を表示しているモニター。右=脳波の解析画面の一例。産総研の説明員によれば、波形を見れば、誰の脳波か分かってしまうほど個人差があるそうだ(クリックで拡大)

 デモでは、ユーザーが選びたいものを100%正確に推測できていた。ニューロコミュニケーターは、運動機能障がいを持つ患者を対象にしたモニター実験も実施している。

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