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農家は究極の“イノベータ”だ空にはドローン、畑にロボット(1/3 ページ)

最先端のテクノロジーを農業に応用しようとする動きが加速している。農業従事者は革新的な技術への関心が本質的に高く、技術メーカーにとって農業は、新しいテクノロジーをアピールする完璧な市場なのではないか。

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ハイテク化が進む農業

 24時間体制の農業や、自律走行トラクタ、無人コンバインなどは、もはや“農業SF(サイエンスフィクション)”の話ではない。現在の農業は、まさにこうした革新的な農業技術の実現に向かっているところなのだ。

 一般的に農業と聞くと、種をまいて、好天を祈り、作物の成長を待つというような、固定観念的なイメージが浮かぶのではないだろうか。しかし、現在も100年前も、こうしたイメージが実際の農業技術にそのまま反映されたことは一度もない。

 米ウィスコンシン州デーン郡の農業・土壌関連機関の職員であるHeidi Johnson氏は、「農業従事者たちは、究極の“イノベータ”だ」と言う。

 農業従事者たちは、自分たちが使う農業機械の技術的問題に直面した場合、常に自分で対処するしかなかった。農場に「IT部門」などはない。

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Heidi Johnson氏

 ウィスコンシン大学の助教授であるBrian Luck氏は、「農業従事者は、“イノベーション集団”だ。彼らは、自己満足のためではなく、自分たちに必要なモノを開発することに挑戦するのが得意である」と述べる。「実際のところ、現在、農業分野に登場している新技術の多くは、農業従事者たちのアイデアから生み出されたものが多い」(同氏)。

 農業関連の展示会「Wisconsin Farm Technology Days」がウィスコンシン州において2015年8月25〜27日の日程で開催されている。ここで注目を集めているのは、巨大なコンバインやヘリコプターだけではない。参加者たちは、手作業を改善することによって収穫高の最適化とロボット化を実現すべく、高性能センサーからクラウド処理にいたるまで、最先端技術について検討・議論を進めているのだ。

「Wisconsin Farm Technology Days」は、このような場所で開催されている

 農業従事者たちにとって、ドローンやロボット、分子科学、クラウドサービス、気候変動のデータ解析などといった用語は、既に日常的に使うなじみのある言葉となっている。

 Luck氏は、「農業分野において次なる目玉は何か」と問われると、「農場や畑を、小さな“区画”に区切って管理することだ」と答えている。「GPS精度やマッピング機能が向上していることから、水や肥料の量を1平方フィート当たりで調整したり、あるいは1本の苗当たりで調節したりすることさえ可能になるかもしれない。このように、農場を小さなエリアごとに管理することを目指していく」(同氏)。

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