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“時代遅れのIC”で勝機をつかむ中国勢製品分解で探るアジアの新トレンド(4)(1/2 ページ)

今回紹介するD2Mのデジタル・フォトフレーム「Instacube」には、中国製のチップがぎっしりと詰まっている。なぜ、これらの中国メーカーはデザインウィンを得たのか。

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 今回は、米国シリコンバレーと香港に拠点を構えるD2Mが販売する新しいデジタル・フォト・フレーム「Instacube」に焦点を当てる。

 Instacubeは、「Instagram」+「Cube(立方体)」を組み合わせた造語である。Instagram(インスタグラム)はFacebookが2010年にリリースを開始した無料の画像共有アプリケーションだ。「iPhone」ではiOS 3.1.2以降、Android端末ではAndroid 2.2以降で使えるようになっていて、現在では全世界で4億人以上が利用、毎日8000万枚以上の画像がアップロードされている。Instacubeは、D2MがクラウドファンディングKickStarterで資金調達を行い、2015年に製品化した、Instagram専用のデジタル・フォトフレームである。

 図1にInstacubeの外観を掲載する。サイズは、デジタル・フォトフレームとしては大きい300×300×100mmで、本体の上部に3つのボタンが設置されている。「電源ボタン」「操作ボタン」「いいねボタン」の3つである。画面サイズは、6.5型。タッチコントローラーでの操作もできるようになっている。

<strong>図1</strong> 「Instacube」のパッケージ(左)と外観
「InstaCube」のパッケージ(左)と外観

 これら3つのボタンは、まさにInstagramをスマートフォン上で使うときと同じ操作ボタンである。スマートフォンなどとはWi-Fiで接続する。大きな画面と、洗練された正方形の外観で、大勢でInstagramの画像を見たい時や、店内でディスプレイとして使いたい時などに適している。

「Instacube」の中身はアジア製チップのオンパレード

 図2はInstacubeの中身である。ここに掲載した部品以外にも、主要チップとしてメモリチップが3つ搭載されている。データを保存するためのNAND型フラッシュメモリ(4GB)とDDR SDRAMである。メモリチップはともに韓国SK Hinix社製である。

Instacubeの分解の結果
図2 Instacubeの分解の結果(クリックで拡大)

 図2で、基板の中央下部に搭載されている大きめなチップがNANDフラッシュだ。その右側には端子部がむき出しになっている部分があるのが分かる。ここに、同じNANDフラッシュをもう1つ搭載し、同じ基板で8GBモデルに対応する予定だと考えられる。

 主要なチップは全て中国の半導体メーカーが提供している。画像処理用のプロセッサは中国Allwinner Technology(以下、Allwinner)の「A13」である。

 プロセッサの電源制御を行う電源ICは、中国X-Power社製。PWM(パルス幅変調)コントローラーIC、リアルタイムクロック、オーディオ用のパワーアンプなども中国製チップを採用している。Wi-Fi通信用チップは台湾Realtek Semiconductor製である。

 日本を除く、アジア勢のチップのオンパレードだ。

 D2Mは、香港にも拠点を構えているとはいえ、本拠地はシリコンバレーだ。そのようなメーカーの製品であっても、中身は中国製チップで埋め尽くされている。

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