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IHS・南川氏に聞く、半導体業界再編とIoTの行方「Qualcomm+NXPは相当脅威」(2/2 ページ)

2016年も終わることがなかった半導体業界の“M&A”の嵐――。2017年もこの業界再編は続くのだろうか。市場調査会社のIHSグローバルで主席アナリストを務める南川明氏に聞いた。

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IoT時代の鍵は「超低消費電力」


南川明氏

EETJ IoTで盛り上がる分野はどこですか。

南川氏 スマートメーターや交通システムなどインフラ系の機器ではないだろうか。インダストリ4.0や農業、医療分野も挙げられる。センサーやマイコンの数は増えるが、重要なのは「とにかく安い」と「超低消費電力」になる。

 とにかく安いチップは、利益につながりにくく大手企業がやりたがらない。そのため、1つの分野に特化して取り組めるベンチャー企業は参入する余地があると思っている。

EETJ 超低消費電力については、どのようにお考えですか?

南川氏 電力に関する問題は、より厳しくなるだろう。IoTの普及によって、毎年1兆個のセンサーを消費するトリリオンセンサー時代が訪れる。エッジコンピューティングやクラウドなど、新たな電力消費が増えている。その中で、2020年以降の電力の受給バランスがあまり議論されていないのは問題なのではないだろうか。

 テクノロジー自体が、大きく変わる必要性が出ている。半導体の微細化もいよいよ厳しい。新しい材料やアーキテクチャによる変革が行われなければならない。例えば、SiCやGaNなどの次世代パワー半導体や、カーボンナノチューブ(CNT)、エナジーハーベスト技術などが挙げられる。これらの技術開発は、今後加速していくだろう。

 また世界の消費電力の内、55%はモーターが消費している。規制なども検討しながら、モーターインバーターの普及を進めていかなければならない。

EETJ スマホに変わる何かは、IoTで登場するのでしょうか。

南川氏 スマート家電などは登場しているが、能動的に“自分で買いたい”と思うような製品はあまり出てきていない。スマホに変わる何かは、見えていないのが現状だ。自動車や医療などの分野では、IoTの普及で大きな変革が起こると考えている。

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