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価格設定は妥当なのか?:

Qualcommが5Gのライセンス方針を公開

5G(第5世代移動通信)の規格策定が進む中、Qualcommが5G関連特許のライセンス料を公表した。スマートフォン向けライセンス料をめぐりAppleと泥沼の特許係争が続く同社だが、果たして公開されたライセンス料は、スマートフォンの価格帯に対して妥当なのだろうか。

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5G対応スマートフォン向けのライセンス料

 3GPPが5G(第5世代移動通信)の標準規格の策定を進める中、EricssonとQualcommがそれぞれ、IP(Intellectual Property)のライセンス料に関する計画を発表した。ワイヤレス技術の研究に幅広く投資して両社は、標準規格の策定にも貢献しているが、最終仕様にどのような特許が盛り込まれるかが明らかになっていない時点でこのような発表をするのは異例のことだ。

 既にEricssonは2017年3月に、携帯電話機1台につき5米ドルの5G IPライセンス料を設定する計画を発表した。ただし、新興市場では2.50米ドルに値下げする可能性もあるという。Qualcommも、5Gのライセンス料とともに、その他のライセンス料についても発表した。

 Qualcommは、5Gの標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)に対して、携帯電話機1台につきスタンドアロンモードの場合は卸売価格の2.275%、マルチモード(2G/3G/4G/5G)の場合は3.25%のライセンス料を設定すると発表した。なお、米国の市場調査会社であるTirias Researchは、携帯電話機の販売価格の約65%を卸売価格として概算している。


Qualcommが発表した5Gモデムチップ 出典:Qualcomm(クリックで拡大)

 さらに、Qualcommは、特許の全ポートフォリオに対して、スタンドアロンモードでは4%、マルチモードでは5%のライセンス料をかける予定だという。SEPは基本的な携帯電話機の開発に必要となるが、ほとんどの携帯電話機のアプリケーションや操作、その他の機能には全ポートフォリオが関係しているため、ほぼ全ての機器メーカーが全ポートフォリオのライセンスを選択することになる。

 これらは、Qualcommが、4G IPのライセンス料および中国で販売されている全ての4G(LTE)携帯電話機に対して中国国家発展改革委員会(NDRC:National Development and Reform Commission)が承認したライセンス料と同じ比率で設定されている。つまり、これらは、現行のライセンス料であり、政府規制当局が変更した訳ではない。この点は、QualcommとAppleの特許係争においてライセンス料の比率が重大な争点となっていることからも重要だ。

 Qualcommは、携帯電話機のライセンス料の上限についても従来通りとすることを明らかにした。具体的な比率はこれまでは公表されていなかったが、500米ドル以上のマルチモード携帯電話機の場合、5G SEPのライセンス料は1台当たり16.25米ドルである。

 Qualcommは、他のメーカーやアプリケーションに対しては異なるライセンス料を設定するつもりであることを示唆した。例えば、自動車アプリケーション向けのライセンス料は、自動車価格をベースにしたレートではなく、一律5米ドルになっている。IoT(モノのインターネット)向けのネットワークであるNB(Narrow-Band)-IoTのライセンスは、IoTアプリケーション向けにわずか50米セントで供与されている。このことから、Qualcommの全てのライセンスレートが、エンドデバイスの価格と常に結びついているという誤った認識が生じている。

ライセンス料は低くなる可能性も

 だが、これらはライセンスレートの単なる指針にすぎない。各機器メーカーが支払うレートは、契約交渉によって異なる可能性がある。つまり、機器メーカーがQualcommとクロスライセンス契約を結ぶ価値のあるIPや、Qualcomm IPの代わりになり得るIPを所有していれば、全体のライセンスレートは低くなる可能性があるということだ。

 今回の発表によって、機器メーカーは、5G IPに関連する契約交渉に備えられるようになった上に、各デバイスの価格に含まれるロイヤルティーの予算を組んでおけるようになった。

 今回の発表の最も重要な側面は、QualcommとApple間の特許係争に透明性がもたらされたことだ。Qualcommがライセンス方針やライセンスレートに関して秘密主義を貫いてきたことから、2社の訴訟合戦をめぐる報道は、これまで誤った情報であふれていた。

 数千種のSEPに最大16.25米ドルのロイヤルティーを支払うことや、Qualcommが所有する13万件の特許に25米ドルのロイヤルティーを支払うことは、600〜1000米ドルという価格幅のハイエンドスマートフォンには高過ぎるのではないか。50米ドルのスマートフォンに、1.63〜2.50米ドルのロイヤルティーは高過ぎるのではないか。今回の発表によって、そのような判断が市場に委ねられるようになった。

 Qualcommの製品ポートフォリオから得る恩恵や、上述したライセンスレートが過去10年以上かけて無線業界全体によって確立されてきたという事実を踏まえると、これらのレートは道理にかなったもののように思える。BlackBerry、Ericsson、Huawei、Intel、InterDigital、NokiaといったQualcomm以外の企業も、当然ながらライセンス料を設定しているので、全体的なロイヤルティーをどのように合計できるかを理解できるし、業界が懸念する理由も合点がいく。

 Qualcommが最も幅広いIPポートフォリオを有しているにしても、ライセンスの問題には、スマートフォンに適用可能な数億もの特許が関わってくるのである。

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【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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