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「AIとはソフトの進化」 Intelが取り組みを強化創薬での応用も始まっている(2/2 ページ)

Intelは2017年12月5日に東京都内で記者説明会を開催。2017年における同社の取り組みを振り返った。AI(人工知能)分野については、京都大学医学部の専門家が登壇し、Intelのプロセッサを使った機械学習のシステムを、創薬に導入した事例を語った。

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創薬でAIを活用する


京都大学医学部付属病院の種石慶氏

 京都大学医学部付属病院 先端医療機器開発・臨床研究センターの種石氏は、機械学習を創薬に応用することに大きな期待を抱いていると語る。

 背景にあるのは、製薬業界が本質的に抱える課題だ。現在、新薬の開発には、1品目当たり約1200億円の費用と約10年以上の時間がかかっているという。それにもかかわらず、医薬品開発の成功確率はわずか2万5000分の1以下だ。「極めてハイリスク、ハイリターンの世界」だと種石氏は述べる。

 そこで注目されているのが計算創薬だ。基本的に創薬というのは、病気の原因となる生体内タンパク質に対して、結合する化合物を見つけることである。だが、化合物は何万種にも上るため、実験室で生成した“手持ち”の化合物から、有効な化合物が見つかる保証はない。

 計算創薬では、実物の化合物ではなくバーチャルに生成した化合物を使う。ターゲットとなるタンパク質をうまく結合するか、細胞内に入った時の動きはどうか、といったことを、実験ではなくシミュレーションで検証することができる。


機械学習を創薬に応用する(クリックで拡大)

 種石氏が期待を寄せるのは、この計算創薬にディープラーニングを応用することである。実は種石氏らは、既に5年以上前から取り組みを進めてきた。「タンパク質と化合物の結合パターンを膨大なデータから学習し、あるタンパク質に対して結合する化合物、つまり薬の候補となるような化合物を予測する」という方法を試してきたという。もともとスーパーコンピュータ(スパコン)の「京」を使っていたが、その時は25万件の相互作用のデータを学習するのが精いっぱいだったと種石氏は語る。

 それが、Xeonサーバで学習させた結果、400万件のデータを学習できたという。豊富なシステムメモリに加え、ソフトウェアをIA(Intel Architecture)に最適化することで、これほどの量の学習が可能になったとする。


計算創薬がもたらす経済効果(クリックで拡大)

 種石氏は、「計算創薬を支えるAIシステムが、(試用段階ではなく)“現実に使えるもの”として導入されていることが重要なポイントだ」と結んだ。

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