ナショナル セミコンダクター社がDC-DCモジュールを投入、オンライン設計ツールも拡充
パワーMOS FETを集積したDC-DCコンバータICと、インダクタ(パワー・コイル)、入力バイパス・コンデンサなどを封止した。出力コンデンサのほか、出力電圧設定用の抵抗などを外付けするだけで、DC-DCコンバータとして機能する。出典:米National Semiconductor社
パフォーマンス・パワー・プロダクト・ラインでビジネス・ユニット・リーダーを務める。
入力電圧範囲が2.95~5.5Vで最大出力電流が4Aの品種「LMZ10504」と、競合他社の同等品を比較した。負荷電流の広い範囲にわたって効率が3~5%高いと主張する。出典:National Semiconductor社
WEBENCH Power Architectの操作画面である。入力源と負荷の条件を設定する。出典:National Semiconductor社
作成した数多くの回路構成を、コストと実装面積、効率を指標としてユーザーが視覚的に比較できるように表示する。ここでユーザーは、特に重視する指標を指定したり、各指標の許容範囲を設定したりして、回路構成の候補を絞り込むことができる。出典:National Semiconductor社
米National Semiconductor(ナショナル セミコンダクター)社は、スイッチング電源向けIC製品群「SIMPLE SWITCHER」を拡充し、DC-DCコンバータICにインダクタを組み合わせてパッケージに封止したモジュール品「LMZパワー・モジュール・シリーズ」を追加した(図1)。競合他社のモジュール品に比べてプリント基板への実装やリワークが容易なことや、熱特性が高いこと、EMI(放射電磁雑音)規格の適合性が高いことを特長として挙げる。医療機器や放送機器、通信機器などを狙う。具体的には、これらの機器に内蔵するFPGAやマイクロプロセッサ、DSPなどのPOL(Point of Load)電源に向ける。
同期整流方式の降圧型DC-DCコンバータ・モジュールである。7リードの表面実装型パッケージに封止した。外形寸法は10.16mm×9.85mm(リードを含めると13.77mm)×4.57mmで、形状は「TO-263」に近い。裏面に放熱に向けた大型のCu(銅)パッドを設けることで放熱性を高めた。裏面に入出力パッドを備える「LGA」などのパッケージを採用した競合他社品に比べて、外形寸法は若干大きくなるものの、プリント基板への実装時にはんだブリッジなどのトラブルが発生しにくくリワークも容易な上、放熱性も優れるという。「競合他社品に比べて内蔵回路の効率が3~5%高いことと相まって、動作温度は10℃程度も低くなる」(同社のパフォーマンス・パワー・プロダクト・ラインでビジネス・ユニット・リーダーを務めるAlex Chin氏)と主張する(図2)。
例えば、5V入力、2.5V出力で負荷電流が3Aの場合の最高表面温度は、「競合他社の同等品が75℃に達するのに対し、62℃に抑えられる」(同氏)。効率については、例えば5V入力、1.8V出力で負荷電流が1Aのときに約93%、4Aのときに約90%だという(図3)。内蔵のDC-DCコンバータICに集積するスイッチング素子の特性を最適化することで効率を高めたと説明する。「スイッチング周波数を1MHzと比較的低く設定し、オン抵抗を小さく抑えた」(同氏)。
EMI規格の適合性については、すべての品種をEN55022 (CISPR22) Class Bに準拠させた。内蔵のインダクタにシールド品を採用するとともに、パッケージ内でDC-DCコンバータICとインダクタのレイアウトを最適化して配線距離を短くするなどの工夫でEMIを低減したという。「競合他社品は、一部の品種しか準拠していない」(同氏)。
入力電圧範囲や最大出力電流が異なる9品種を用意しており、そのうち3品種の出荷をすでに始めている。具体的には、入力電圧範囲が2.95~5.5Vで最大出力電流が4Aの「LMZ10504」と、同4.5~20V、3Aの「LMZ12003」、同6~42V、3Aの「LMZ14203」である。価格は、500個購入時の単価がそれぞれ7.1米ドル、7.25米ドル、9.5米ドル。残りの6品種は、上記3品種と入力電圧範囲が同じで最大出力電流が1~5Aの範囲で異なる。今後同社は、最大出力電流をさらに高めた品種などを追加していく予定である。
オンライン設計支援ツールも拡充
さらに同社は今回、従来からウェブサイトで無償提供しているオンライン設計支援ツール「WEBENCH」を拡充し、多電圧・多出力の複雑な電源システムに対応する「WEBENCH Power Architect」を追加した。従来のWEBENCHは、単一出力の電源回路にしか対応していなかった。
使い方は簡単だ。www.national.com/powerarchitectにアクセスし、多電圧・多出力の電源システムの仕様を入力すればよい(図4)。するとPower Architectがその仕様を満たすように、使用部品や変換方式が異なる数多くの回路構成を自動的に作成する。この際に、前述のモジュール品を優先的に利用するように設定することもできる。
こうして作成した数多くの回路構成の中から、(1)コスト、(2)実装面積、(3)効率の3つの指標をユーザーが設定して絞り込む機能も用意した(図5)。すなわちユーザーは各項目のトレード・オフをツール上で対話的に検討しながら、機器の要件に最も適した回路構成を選べる。従来のWEBENCHと同様に、各回路構成について詳細な回路図を確認したり、動作特性や放熱特性のシミュレーションを実行したりすることも可能である。
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