デルがARMプロセッサ搭載サーバを検証中、IBMも興味を示す

米Dell(デル)社は2010年夏に、大規模なデータ・センターに設置する省電力型のサーバ用プロセッサとして、英ARM社のプロセッサ・コアを採用したマルチコア・プロセッサが使用できるかどうか検証する予定だ。この検証では、米Marvell Technology Group社製のプロセッサを使用する。Dell社はこれまでに、台湾のVia Technologies社製のx86プロセッサを搭載した省電力型のサーバを数千台出荷している。
その一方、米IBM社のある重役は、同社が、「サーバ用に、省電力型の新しいプロセッサ・アーキテクチャが求められている」と発言し、ARM社のコアを搭載したプロセッサをサーバに搭載する動きに理解を見せた。しかし、実際にIBM社がARM社のプロセッサ・コアの評価に取り組んでいるのか、実際に採用する予定があるのかということについては、コメントを避けた。
サーバ・メーカー各社は最近、英ARM社のコアを搭載したプロセッサをサーバに応用することに関心を寄せている。このサーバを、Intel社製のプロセッサほどの性能が必要なく、電力供給源が限られるところに設置することを考えているのだ。ARM社のコアを採用したプロセッサを搭載したサーバを売り込む市場としては、米Facebook社などの、Web上で独自のサービスを提供している企業が持つ大規模なデータ・センターを考えているようだ。
Dell社の企業向け製品グループでCTOを務めるPaul Prince氏は、「当社は約1年半前、ARM社の「Cortex-A8」コアを採用したプロセッサを搭載したサーバーを用意し、一般に「LAMP」というソフトウエア環境を構築した。LAMPとは、Linux、Apache(HTTPサーバー・ソフトウエア)、MySQL(リレーショナル・データベース管理システム)、Perl(プログラミング言語。ここにPHPやPythonといった言語を入れる場合もある)の略だ。現時点まで、この検証に懸命に取り組んでいる。」と述べた。
Dell社は2年前、ある企業に、特注のサーバーを納品した。その企業は5000台以上のサーバを格納したデータ・センターを少なくとも1つ持っている企業で、Dell社はその企業向けにVia Technologies社製のノートPC向けx86チップを搭載した特注サーバを納品した。Prince氏は、「この事例は当社に、消費電力量が少ないサーバという市場が存在することを早い時期に知らせてくれた」と述べた。
Dell社は次の段階として、2010年夏に、ARM社の「Cortex-A9」コアを搭載したマルチコア・プロセッサを検証する予定だ。このプロセッサは、Marvell Technology Group社がサーバ向けに開発したものである。Marvell Technology Group社は最近、2010年にARM社ののコアを採用した40nmサーバ向けプロセッサを出荷すると発表した。
Prince氏は、「信頼できるプロセッサ・メーカーは、数社しかない。その中でも、米Broadcoms社やTexas Instruments社は、サーバ向けプロセッサ市場に、彼ら独自の戦略で挑んでいる」とした上で、「最も信頼できるメーカーは、Marvell Technology Group社だ」と付け加えた。
Broadcom社はこれまでの公式発表で、ARM社のプロセッサ・コアを採用したプロセッサをサーバに応用することついて詳しく述べたことはない。同社のイーサネット・コントローラ部門でシニア・プロダクト・ライン・マネジャーを務めるSimon Assouad氏は、「ARM社のコアを採用したプロセッサを搭載するサーバの市場は生まれたばかりだ。今のところその用途は、Webサーバやファイル・サーバに限られるだろう」としている。
IBM社は、計画の詳細を明らかにしようとしない。しかし、IBM社のフェローで、イノベーション部門のバイス・プレジデントも務めるBernie Meyerson氏は、同社が、サーバ向けに、低消費電力の新しいプロセッサ・アーキテクチャが求められている」という最近の傾向を理解している述べた。
Meyerson氏は、ARM社のコアを採用したプロセッサを搭載したサーバが、Linuxを搭載していることを踏まえ、「Linuxはオープン・ソース・ソフトウエアだ。そしてIBM社は、はるか昔にコンピュータ・アーキテクチャのオープン化に踏み切った」と述べた、「当社はこれまで、おそらく数十万に及ぶARM社のコアを採用したプロセッサを搭載した製品(サーバではない)を出荷してきた」と付け加えた。
また、Meyerson氏は、「今から別のエコシステムが構築されたとしても、そのシステムを使える環境にある人なら、歓迎しない手はないだろう」と述べ、「もしそのエコシステムに合わせた機器を設計できたら、それはマイナス要因などではなく、むしろ競合メーカーとの違いを打ち出すポイントとなり得る」と述べた。
そしてMeyerson氏は、ARM社のコアを採用したプロセッサを搭載したサーバの出荷台数が増えることで、より機器の最適化が進み、新世代の製品が登場すると予測した。
さらにMeyerson氏は、「我々は今、汎用プロセッサや汎用コンピュータを使う時代から、特定用途向けのプロセッサやサーバを使う時代へと移りつつある。今後ユーザが、特定用途向けの機器を実際に使って検証することになるだろう。その結果、ユーザーはこれらの機器を家電のように扱うようになるだろう」と述べた。
また、Meyerson氏は、ARM社のコアを採用したプロセッサを搭載したサーバに、サーバー・メーカーが向かう傾向は、IBM社製のスーパー・コンピュータ「BlueGene」の設計時に起こったことを思い出させると述べた。IBM社は、簡素な設計の「PowerPC 440」プロセッサを無数に使用することで、前世代のものより高性能な上、消費電力を抑えたBlueGeneを作り上げた。BlueGeneは一時、世界で最も高性能なスーパー・コンピュータの座に君臨していた。
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