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» 2009年01月30日 14時45分 公開

MEMS発振器の温度安定性、米社が改善策を提案電子部品 タイミングデバイス

[R. Colin Johnson,EE Times]

 MEMS(Micro Electromechanical Systems)発振器は、シリコン(Si)・ウエハー上にCMOSプロセス技術を使って共振器を作り込む。これが、水晶振動子に代わる時間基準として機能する。しかし、シリコンは水晶ほど安定性の高い材料ではない。従ってチップ・メーカーは温度特性を動的に補償する回路を集積する必要がある。その結果、消費電力が増大するという課題があった。

 この温度安定性の課題を解決したと主張するのが、米Silicon Clocks社である。受動的に温度特性を補償する材料を使う。この材料は、電力をまったく消費せずに、水晶振動子に匹敵する結果が得られるとしている。

 一般的な水晶振動子は周波数安定性が1℃当たり0.25〜1ppmであるのに対し、一般的なMEMS発振器は15〜30ppm/℃である。Silicon Clocks社は、新たに開発した温度補償技術「CMEMS-ZeroThermal」を使うことで、MEMS発振器の周波数安定性を30倍改善し、0.5〜1ppm/℃まで高められると主張する。

 コンサルタント会社である米Consulting Services & Associates社で市場アナリストを務めるMark Sherwood氏は、「Silicon Clocks社はMEMS共振器の温度補償について非常に賢明な解決策を見出した。この方法を使えば、動的な回路を追加することなく、水晶振動子に匹敵する性能を実現できる」と述べている。

 これまでMEMS発振器で採用されていた温度補償技術は、動的な回路であるPLL(Phase Locked Loop)方式の周波数シンセサイザを集積するというものだった。PLLの周波数分解能を高めるため、周波数シンセサイザにはフラクショナルN(分数分周)型を採用していた。

 これに対しSilicon Clocks社の手法は、MEMS共振器の周囲に独自の材料を配置することで、温度変化に応じた圧力が共振器に印加されるというものだ。

 同社によれば、温度が上がると共振器に圧力が加わって、通常であれば発生してしまう共振周波数の変動を抑える。これによってMEMS発振器の周波数を少なくとも100℃の温度範囲にわたって安定させることが可能だという。

 Silicon Clocks社のCEO(最高経営責任者)を務めるDidier Lacroix氏は「当社以外にも、受動的な手法に挑んだ例はある。例えば、シリコン共振器そのものに、異なる材料を追加する手法だ。当社もこの手法を試したが、良い結果を得るには至らなかった」と述べている。このため現在では、「共振器そのものではなく、共振器の周囲に材料を追加する手法を採っている」(同氏)という。

 同社は、この手法について特許を申請しており、CMOSチップ・メーカーに向けてライセンス供与する計画だ。

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