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» 2009年06月23日 11時00分 UPDATE

ディスプレイ技術 タッチパネル:静電容量方式のタッチ・スクリーン、マルチタッチ対応の実現方法 (1/3)

ユーザーは思い通りに操作できないタッチパネルを嫌う。静電容量方式のタッチパネルを選択したとしよう。マルチタッチが必要であれば、相互キャパシタンス方式の採用をお勧めする。解像度を高めるには意味のないデータを除去するソフトウェアが必要になる。雑音対策も重要だ。

[John Carey,米Atmel]

 組み込み機器では、今後ますます、ユーザーインタフェースの重要度が高まる。「iPhone」などの最新の携帯電話機がその一例だ。タッチスクリーン上でのフリック(はじく)動作とタップ(軽くたたく)動作を区別し、指の動きには追従するが、通話時に耳が当たったときには反応しない。このようなタッチスクリーンが望まれている。

 このようなユーザーインタフェースの核となるのが、センサーである。周辺環境の状況やユーザーの動作を検出して、確実に反応できなければならない。だが、タッチスクリーンのセンサーフィルム自体は高機能ではない。センサーフィルムはデータを収集できず、ただ検出するだけだ。役に立つデータと役に立たないデータを区別し、入力された内容を見分けることもできない。

 実際には、センサーフィルム自体はほとんど何も検出していない。インテリジェントな静電容量センサーチップによって生み出される電界を検知しているにすぎない。この種の静電容量の検出は、投影型静電容量技術として知られており、最先端の静電容量式タッチスクリーンで使われている。投影型静電容量方式のタッチスクリーンの断面図を図1に示す。

ALT 図1 投影型静電容量方式のタッチスクリーンの構造

 センサーの構造自体は複雑だ。静電容量式タッチスクリーン・センサーは、1層以上のガラスかPET(ポリエチレンテレフタラート)でできたタッチスクリーンに、多数のITO(酸化インジウムスズ)透明電極を配置した構造を採る。タッチスクリーン・センサーの断面図を図2に示す。

ALT 図2 タッチスクリーン・センサーの構造 各層の誘電率はそれぞれ異なる。

 ITO透明電極は光学的透明度が高く、電気抵抗が小さいため、タッチスクリーンを作るのに最適な導電体である。ITO透明電極を、適度に高いSN比を持つ静電容量センサーに接続すれば、静電容量の微細な変化を正確に検出できる。例えば、指が触れたときの静電容量の変化である約1pFを検出できる。

 通常、これに数十nFのバックグラウンド静電容量が加わるため、極めて高いSN比が必要になる。SN比の高い静電容量センサーに適しているのが、米Atmelの電荷転送技術(Charge transfer technology)である。同技術を用いると指や指先が携帯電話機のタッチスクリーンに触れる前から、静電容量の微細な変化を検出できる。

 電荷転送技術では、静電容量チャネルごとに1対の検出電極を使うことで、高いSN比を実現している。1つは駆動電極で、電荷を論理パルス信号としてバーストモードで送る。もう1つの受信電極は、その上を覆うパネル(誘電体)を介して、エミッタに結合されている。指がパネルに触れると、電界が変化し、タッチを検出できる。

 電荷を信号として収集するほとんどの技術では、信号変換中、配線に電流が流れたままになる。このため、接触点の位置測定が不正確になってしまう。センサー端の配線を流れる電流を計算に入れても正確にはならない。

 センサー端の配線の影響は、センサーとドライバICの間の配線が長くなるほど大きくなり、長さが2cm〜3cmを超えると深刻な問題になる。

 電荷転送技術では、電荷を収集中、受信線をゼロ電位に維持し、電荷の移動を主センサー領域にある駆動電極Xと受信電極Yの間に制限することで、問題を解決した。

 電荷転送技術では、個々の抵抗をストライプ状に直線状に配列している。複数のストライプを並べることで、タッチスクリーンを形成している。それぞれのストライプは、電気的に独立しているため、同時に読み取ることもできるし、順に読み取ることもできる。隣接する集中電極素子とタッチする指の間には補完結合が成立する。

 電荷転送技術では、行電極と列電極が互いに結合する地点のごく近くに限って信号を収集できる。このような局所的な結合が起こると、行列の他の部分ではタッチに対する感度が落ちる。このため、文字通り、制限のないマルチタッチ機能が実現できる†1)。電荷転送技術を用いた回路の構成を図3に示す。

ATL 図3 電荷転送技術を用いた回路の構成
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