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ガソリン・カーをハイブリッド・カーに変える「改造キット」、革新的な発明なのかエネルギー技術 電気自動車

各タイヤに電動モーターを装着することで、通常のガソリンエンジンを搭載した自動車をハイブリッドカーに変え、燃費を2倍に高められるという。キットの販売価格は3000〜5000米ドルの予定だ。

» 2009年07月13日 11時00分 公開
[R. Colin Johnson,Automotive DesignLine]

 従来の自動車をハイブリッド車に変えることができる。こんな改造キットを、米IBMでの勤務経験がある技術者が設計した(図1)。各タイヤに電動モーターを装着することで、通常のガソリンエンジンを搭載した自動車をハイブリッドカーに変え、燃費を2倍に高められるという。

 IBMでの製品開発に関する研究者としての経歴を持つCharles Perry氏の発明は、米Tennessee Technology Developmentが開催する「グリーンエネルギー・コンテスト」で第1位を獲得した。同氏の「Plug-in Hybrid Retrofit Kit」(改造キット)は現在特許申請中だが、米Palmer Labsから製品化されることが既に決定している。

ALT 図1 ガソリンカーをハイブリッドカーに改造する 「Plug-in Hybrid Retrofit Kit」の取り付け位置は、ブレーキ機構とハブの間になる。

 Perry氏は、「今回の発明が今までの手法と違うのは、既存の自動車を改良しなくてもハイブリッドカーに変えられる点だ。ブレーキとハブの間にある空間にモーターを取り付けるだけよく、車自体には何の改良も必要ない」と説明する。

 同氏は、「米国のドライバの80%は通常、時速30〜40マイル/時(48〜64km/時)以下で運転している。改造キットは10〜15馬力の電動モーターを備えているため、この速度での運転に必要な動力を全てまかなえる。つまり、米国だけで1日に約1億2000万ガロンのガソリンを節約できる」と主張する。電動モーターは車のトランクに搭載した2次電池によって動作する。

 この改造キットの製品化に向け、同氏は米Tennessee Technological Universityと提携した。同大学は約10万米ドルの研究資金を使って1年以内に実用レベルの試作品を作製する予定だという。さらにその次の段階として、国が所有する30台の自動車に同キットを試験的に適用する計画もある。Perry氏は、「全てが計画通りに進めば、Palmer Labsによる製品化が3年以内に実現するだろう。改造キットの製品化に向け、同社はテネシー州に新しい製造施設を建設し、約2000人の従業員を新たに雇用する計画だ」と明かした。

 なお、同氏によると、同キットの販売価格は3000〜5000米ドルの予定だという。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】


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