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スマートフォン・メーカーに関する7つの予測、2010年は優勝劣敗が明確にビジネスニュース 業界動向(2/2 ページ)

» 2009年12月08日 11時00分 公開
[Mark LaPedus,EE Times]
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予測その5:ライバルを尻目に好調を維持するSamsung

 英国の銀行HSBC社のアナリストを務めるSteven Pelayo氏は、Samsung Electronics社の携帯電話機事業について「2009年第3四半期の収益は、第2四半期比10%増とほぼ横ばいだった。ただし、これは研究開発とマーケティングに多額を費やしたからだ」と説明する。そして、「出荷台数は第2四半期比15%増、2008年第3四半期比16%増となる6020万台で、世界市場の20%を占める。2009年全体の出荷台数は、市場全体の落ち込みに反して2008年比7%増を達成し、台数は2億台に上る勢いだ」と同社の好調ぶりを強調した(図2)。

ALT 図2 韓国Samsung Electronics社のスマートフォン「I8910 HD」 Samsung Electronics社は、他社を尻目に着実に成長している。

 ただし、平均小売価格を見ると、2008年に比べて2009年はわずか(1桁台後半)に下がりそうだという。2008年は2007年と比べてほぼ変わらないか、ほんの少し下がっていたという程度だった。

予測その6:携帯電話事業者に見放されたPalm社

 Kumar氏は、Palm社が2009年7月に発売した「Palm Pre」について「米国内の売上調査結果を見ると、2009年10月のPalm Preの売上高は大きく減少している。大幅な値下げに踏み切ったにもかかわらず、売上高低迷は阻止できていない。2009年11月に発売した『Palm Pixi』も、この悪い流れを逆転させる要素とはなり得ないだろう」と厳しい見方を示した。

 Palm社はPalm Preを販売する携帯電話事業者を、米Sprint Nextel社、カナダBell Canada社、英Telefonica O2社、スペインTelefonica社に限定している。Kumar氏は「携帯電話事業者は収益を向上させるために、低迷するPalm社の製品よりも、他の携帯電話機ベンダーの製品のプロモーションや広告に予算を投じるだろう。Palm社は既に市場において主要ベンダーとはいえない。もはや、同社の市場は北アメリカや英国、ドイツ、スペインなど一部の地域に限られている。同社の、下方に向かうスパイラルはどんどん加速している」と市場におけるPalm社の存在感が消失しつつあることを指摘した。

 米国の市場調査会社Gartner社は、Palm社のスマートフォン向けOS「WebOS」のシェアはわずか0.2%と見ている。Kumar氏は「WebOSは、開発者の支持を得られないだろう。Palm社はWebOSの開発に多額の資金を投入してきたが、WebOSの普及率が臨界点に達する可能性は極めて低い」と予想する。

予測その7:米Google社がスマートフォンを販売する

 2009年12月現在、Google社は一般消費者向けにハードウェアを販売する構えを見せていない。スマートフォン向けOSであるAndroidや、ネットブック向けOS「Chrome OS」を提供する他、検索サービス、メールサービスを提供するなど、ソフトウェアとサービスの提供に徹している。

 しかしKumar氏は、「Google社は、2009年末までに自社ブランドのスマートフォンを発売する」と予想する。さらに同氏は「Google社は携帯電話事業者の販売費用を負担し、このスマートフォンの拡販に力を入れるだろう。そうすることで、同社のサービスの利用者拡大を狙う。Google社のスマートフォンは、Motorola社のDroidと同じくAndroidを搭載するだろう。そして、スマートフォンの世界で大きなシェアを持つQualcomm社のチップを搭載したものになるだろう。Googleがスマートフォンの販売を始めたら、Motorola社と競合するようになる」と予想した。

 Kumar氏は、Google社がスマートフォンだけではなく、自社ブランドのネットブックまで発売すると見ている。同氏は「このネットブックは2010年初旬に登場し、Qualcomm社の『Snapdragon』プロセッサを搭載したものになるだろう。ネットブック用OSとしてLinuxはいまだ足掛かりを築けていない。一方、Google社の『Chrome OS』は普及の兆しが見え始めている」と予想した。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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