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» 2010年07月16日 00時00分 公開

センシング技術 GPS測位:つながる広がる位置情報、あなたの機器に測位技術が載る (2/4)

[前川慎光,EE Times Japan]

 ここ1〜2年の間、位置情報を使ったサービスが続々と登場しているのに加え、位置情報を扱う製品分野が広がっている。

 現在、位置座標を測位するのに広く使われているGPS(Global Positioning System)には、2つの弱点がある。1つは、機器の電源を投入した後に位置座標を取得するまでの時間「初期位置取得時間(TTFF:Time to First Fix)」が数分にもなる場合があること。もう1つは、建物内部や地下といったGPS衛星からの信号が届きにくい場所では、位置測位が難しいことである。

 この2つの弱点があるということは、GPS測位のいわば常識だった。ところが、最近になって状況が変わりつつある。GPS測位を補完する新たな測位技術が登場したことや、GPS測位そのものの性能が向上したことなどが理由だ。

 位置情報に基づいた新たなサービスを展開するとき、上に挙げたGPS測位の2つの弱点は見逃せない問題点だ。初期位置取得時間が長ければ、利用者はサービスをすぐに使いたいのにもかかわらず、待たせてしまうかもしれない。建物内部や地下で位置をとれないことで、サービスの提供範囲に制限がかかってしまうのは避けたい。

 GPS測位の2つの弱点を補う新技術が現れてきたことで、位置情報を使ったサービスの展開が加速する。携帯電話機やスマートフォンを中心に急速に広がっている位置情報サービスは、デジタルカメラやモバイルPC、携帯型ゲーム機といった、携帯型のほかの機器にも波及する可能性がある。

GPSの弱点を補う新技術

 初期位置取得時間が長くなってしまうという弱点については、「エフェメリス予測」という新しい機能を搭載したGPS受信チップが市場に複数登場している。初期位置取得時間が30秒を越えるような状況でも、この新機能を使えば、10秒程度まで短縮できる。このほか、GPS受信チップやモジュールを手掛けるスイスU-blox社は、「Capture&Process」と呼ぶ、機器での測位作業を簡略化する手法を提案している。この手法を使えば、測位のための作業時間を短縮できる。また、ハードウエアの構成がシンプルになるため、消費電力も減らせる。デジタルカメラやデータロガーなどに有効な技術である。

 もう一方の屋内での測位については、無線LANを使った測位技術が携帯電話機やスマートフォンを中心に採用が広がっている。都市部では、無線LANのアクセスポイントの密度が十分に高いことを活用する。今後は、無線LANを使った測位技術とGPSを使った測位技術の融合が進む。

 また、これまで長年研究されてきた屋内での測位技術である「屋内GPS(IMES:Indoor Messaging System)」についても、最近になってようやく研究段階から事業化段階に移行した。日立産機システムが、屋内GPSに対応した送信機を製品化することを2010年2月に発表済である。

測位技術の搭載機器が広がる

 位置情報に関連したサービスにおいて、これまで主役だったのは地図を使ったサービスだった。例えば、利用者の現在地と目的地の情報を基に、目的地までの経路を案内するといったものである。位置情報を使った各種サービスの中で、最近注目を集めているものは多岐にわたる(図1)。

図 図1 位置情報を使ったサービスが広がる 位置情報を使ったサービスが続々と登場している。かつては、地図上で現在地から目的地までの経路を表示するといった地図サービスが主だった。

 例えば、利用者の日常の移動や位置がゲーム内容に反映されるオンラインゲームや、位置情報を付加したブログサービス、近くにいる友人を探せるソーシャルサービスなどがある。

 位置情報を使ったオンラインゲームは、利用者の実際の日常の移動とゲーム内容が連動していることが特徴だ。この特徴を生かし、携帯電話機のオンラインゲームという枠を越え、実世界のサービスとの連携が進んでいる。例えば、「コロニーな生活PLUS」という位置情報を使ったゲームを手掛けるコロプラは、国内の旅行会社や交通機関と提携したキャンペーンやイベントを次々と発表している。

 位置をきっかけにした情報を提供するサービスもある。例えば、ロケーションバリューは、スマートフォンの位置情報を活用したクーポンを発行するアプリケーションプログラム「イマナラ!iPhoneアプリ」を2010年5月19日から提供している。このアプリケーションプログラムは、7月1日までに合計7万件がダウンロードされたという。

 また、NTTドコモの「オートGPS」と呼ぶ機能では、利用者の位置情報を定期的に測位することで、位置情報に基づいたさまざまな情報を利用者に提供する。例えば、観光情報や現在地の天気情報を提供したり、あらかじめ登録した地点に近づいたことを知らせるリマインドメールを送るなどである。このほか、最近注目が集まっている「拡張現実(AR)」を実現するためにも、位置情報は不可欠な要素だ。

測位技術の搭載機器が広がる

 上記に説明したような位置情報を使ったサービスの多くは、携帯電話機やスマートフォンで利用するものだ。測位技術を搭載した民生機器といえば、カーナビやPND(Personal Navigation Device)、携帯電話機、スマートフォンが現在のところ一般的である。ゆっくりとではあるものの、それ以外の機器にも位置測位機能を搭載する動きが広がっている(図2)。

図 図2 測位技術が活用されている分野 位置を測位する技術の適用分野は幅広い。例えば、船舶や飛行機といった輸送分野から、農業や土木分野における測量機器、自動車の盗難防止システムまで。民生分野では、これまで広く使われてきた携帯電話機やスマートフォン、カーナビ、PNDに加えて、最近ではデジタルカメラやモバイルPCにも測位技術が採用されるようになってきた。

 例えば、撮影した写真に位置情報を付加するジオタギング機能を搭載したデジタルカメラがある。このほか、無線LAN搭載のSDメモリカードに無線LANを使った位置測位技術を搭載するといった、新たな試みもある。

 据え置き型のデジタル家電についても、あくまで可能性ではあるものの、履歴管理に位置情報を活用できる。出荷した後に、リサイクルされて回収するまでの動きを正確に把握することが可能になる。また、デジタル家電が設置された地域に応じて、提供サービスを変えるなどの機能も考えられる。

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