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【CEATEC 2010】KDDIがLTE検証用端末を展示、ソニー・エリクソンと共同開発無線通信技術 LTE

一般公開は今回が初めてだという。

» 2010年10月05日 14時36分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

 KDDIは、LTE検証用端末の試作機をエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」(2010年10月5日〜9日に幕張メッセで開催)で展示した(図1)。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズと共同開発したもので、一般公開は今回が初めてだという。

 KDDIは2012年12月にLTEの商用サービスを開始する計画を掲げており、2010年3月から栃木県の那須塩原地区で2GHz帯のフィールド検証を進めていた。現在は、都市部で利用する1.5GHz帯のフィールド検証に着手しており、今回展示した端末はこの検証において無線通信性能の評価に使う。

図1 図1 LTE検証用端末の試作機 外形寸法は80mm×130mm×16.4mmと大きい。「あくまでも検証用の端末であり、無線通信部をほかの帯域に対応したものに交換できるようにしてあるので、筐体のサイズは大きくなっている」(KDDIの説明員)。無線通信性能の評価に向けた試作機であり、ディスプレイやユーザーインタフェースなどは搭載していない。なお、この試作機の説明用の札には「LTE・CDMA2000 マルチシステム・マルチバンド対応」と書かれているが、実際には現時点ではLTEの1.5GHz帯のみの対応だという。

 クアルコムがデータ通信カードに向けて供給するLTE対応チップセット「MDM9600」を搭載した。対応する周波数帯は現在のところ1.5GHz帯のみだが、今後、LTEの2GHz帯や800MHz帯のほか、CDMA 2000 1X EV-DOの2GHz帯や800MHz帯にも対応を進めるという。

 展示では、ローデ・シュワルツのLTE対応無線機テスターが出力した試験用の無線信号を有線接続で検証用端末に入力し、同端末で復調するデモを見せていた(図2)。

図2 図2 検証用端末でLTEの無線信号を復調 コンテンツサーバに見立てたPCから、4Mビット/秒の映像データをLAN経由でローデ・シュワルツ製の無線機テスターに送り、LTEの変調を施した無線信号を出力する。これを有線接続で検証用端末に入力し、復調出力を別のPCに送ってモニタに映し出して見せた。フィールド検証では、下り方向で70Mビット/秒のデータレートが実測値として得られているという。

 国内での商用LTEサービスは、まずNTTドコモが2010年12月に提供を始める予定だ(図3)。KDDIの導入計画の2年先を行く。これについてKDDIは、「サービス開始時期そのものは比較的遅くなるが、開始当初からデータ通信カードのみならず、(音声通話も可能な)LTE対応携帯電話を提供できるように取り組みを進めていきたい。具体的には、音声通話については既存のCDMA 2000 1Xを利用する。さらに、LTEのサービス圏外でもEV-DOマルチキャリア対応のCDMA 2000 1X網にハンドオフすることで、データ通信を維持できるような仕組みも構築する」(同社の説明員)と説明した。

図3 図3 NTTドコモブースのLTEデモ 2010年12月に提供を開始するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」のデモである。データサイズが大きいビデオコンテンツをごく短時間でダウンロードできる様子を実演してみせていた。

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