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モバイルの行動支援アプリ実現の鍵、TEDが加速度/地磁気センサーの販売開始

» 2011年01月12日 17時59分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 東京エレクトロンデバイス(TED)は2010年12月、各種センサーを手掛けるメムシック(MEMSIC)と代理店契約を締結し、同社の高耐衝撃性の加速度センサーと、高感度の地磁気センサーの販売を開始した(図1)。

 メムシックは、民生分野や車載分野を対象にした各種センサーや、産業制御分野や衛星分野に向けたナビーゲーションシステムなどを開発している米国企業である。本社は米国にあり、1999年に設立された。

 現在、スマートフォンなどモバイル機器の測位補助には、地磁気センサーや加速度センサーが活用されている。地磁気センサーはスマートフォンが向いている方位を検出し、加速度センサーは地磁気センサーの基準レベルを調整するために使う。地図アプリケーションや行動支援型のアプリケーションを実現する鍵となる重要な部品である。東京エレクトロンデバイスは、継続的な市場拡大が期待できる製品分野と考え、取り扱いを始めた。

図1 図1 東京エレクトロンデバイスが販売を開始した加速度センサーと地磁気センサー
米国のメムシック(MEMSIC)が開発したもの。加速度センサーは熱検知方式、地磁気センサーはAMR(異方性磁気抵抗)方式を採用している。

 加速度センサーは熱検知方式を採用

 メムシックの加速度センサーは、熱検知方式を採用することで、高い耐衝撃性を実現している。熱検知方式の加速度センサーを製品化しているのは、主にメムシックだけだという。

 熱検知方式加速度センサーの仕組みはこうだ。MEMS(Micro Electromechanical Systems)技術で作り込んだ空間にガスが満たされている。その空間に置いたチップの中央部にはヒーターがあり、チップの四隅には温度センサーがある。加速度センサーを実装した基板に何らかの力が加わり、位置が変位すると、空間の温度分布が変化する。従って、温度分布を温度センサーでモニタリングすれば、加速度を測定できる仕組みである。

 現在、多くの企業が、熱検知方式ではなく、検出素子の機械的な変位を使って、加速度を測定する種類の加速度センサーを製品化している。この種類に比べると、熱検知方式の加速度センサーは測定時にヒーターを動作させる必要があり、稼働時の消費電流が大きくなってしまう。

 しかし、機械的に変位する素子を有していないため、歩留まりを高めやすく、機械的な衝撃に対する耐性が高い。「歩留まりを高めやすいため、検出素子の機械的な変位を使う加速度センサーに比べて、安価である。また、50kGの衝撃に耐えられる」(同社)。現在販売しているのは、2軸(X軸とY軸)の加速度センサーだが、今後、3軸の品種も製品化する予定である。

 高感度と低消費電力を両立

 一方の3軸地磁気センサーは、AMR(異方性磁気抵抗)方式を採用している。現在普及しているホール素子を使った磁気センサー比べ、高い感度と消費電力の低さを両立させていることが特徴だという。具体的には、測定精度は±2°、消費電流は0.55mA(1秒に50回センシングしたとき)。3つのAMR素子と13ビット分解能のA-D変換チップで構成しており、測定感度は1LSB(Least Significant Bit)が2mGである。

訂正あり>記事初出時、加速度センサーの仕組みを説明する部分において、「その空間に置いた基板の中央部にはヒーターがあり、基板の四隅には温度センサーがある。基板に何らかの力が加わり、位置が変位すると、空間の温度分布が変化する。」と説明していました。誤解を招く表現だったため、「その空間に置いたチップの中央部にはヒーターがあり、チップの四隅には温度センサーがある。加速度センサーを実装した基板に何らかの力が加わり、位置が変位すると、空間の温度分布が変化する。」と訂正致しました。本記事は、すでに訂正済みです。

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