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「スマートフォンの画質向上と薄型化を両立」、携帯向けカメラアレイを米社が発表電子部品

» 2011年02月14日 14時02分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 Pelican Imagingは、「携帯型機器向けとしては初となるカメラアレイ・モジュールのプロトタイプを開発した」と発表した。同社は、ベンチャーキャピタルの投資を受けて計算機画像処理(コンピュテーショナルイメージング)技術の開発を手掛ける米国の新興企業である。

 Pelican Imagingによれば、同社はコンピュテーショナル・カメラアレイのアーキテクチャと基盤IPを開発済みであり、アレイ光学系やセンサー、画像再構成アルゴリズムなどで、12件の特許を出願中だという。同社は、今回開発したカメラアレイを使うことで、スマートフォンの画像と動画の品質を向上させながら、筐体の厚みをより薄くすることが可能だと主張する(図1)。

図1 図1 カメラアレイでスマートフォンを薄型化
右側は、Pelican Imagingのカメラアレイを搭載したスマートフォンのコンセプト図である。従来型のカメラモジュールを使う左側のスマートフォンに比べて、薄型化が可能になるという。

 また同社は、このカメラアレイによって新しいアプリケーションの可能性も開けると述べている。3次元の奥行きを表現したり、ジェスチャ制御を実現したりできるほか、エンドユーザーが撮影の前後に画像を操作する機能などを携帯型機器に作り込めるようになるという。

 同社はこのカメラアレイについて、「実動するプロトタイプをすでに製作済みだ」としているが、このカメラアレイを搭載する製品の発売時期はまだ明らかにしていない。

 Pelican Imagingは、同社の技術アドバイザーの顔ぶれについても発表した。コンピュテーショナルイメージング分野の3人の専門家がアドバイザーとして名を連ねている。具体的には、Stanford Universityの教授であるMarc Levoy氏、Columbia Universityの教授であるShree K. Nayar氏、技術コンサルティング会社であるEdictのCEOを務めるBedabrata Pain氏だ。

 Columbia UniversityのNayar教授は、「Pelican Imagingの開発成果は、イメージングと動画にパラダイムシフトを起こすものになる。携帯型機器に特有のさまざまな制約から解き放てる可能性がある」と述べている。

 Pelican Imagingは、Globespan Capital Partnersや、Granite Ventures、InterWest Partners、In-Q-Telなど、米国のベンチャーキャピタル各社から投資を受けて、2008年に設立された。

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