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フリースケールがCortex-M4採用マイコンを拡充、「最も豊富なアナログ周辺回路を有す」プロセッサ/マイコン Cortex-M4

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは、アーム(ARM)のプロセッサコア「Cortex-M4」を採用したマイコン製品群「Kinetis」の新ファミリ「Kinetis K50」を発表した。

» 2011年03月06日 22時41分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは、アーム(ARM)のプロセッサコア「Cortex-M4」を採用したマイコン製品群「Kinetis」の新ファミリ「Kinetis K50」を発表した(図1)。「K50」と「K51」、「K52」、「K53」という4つのサブファミリがあり、合計40品種で構成する。

 新ファミリであるKinetis K50の特徴は、外部から取り込んだアナログ信号を処理する専用回路や、連続したデータモニタリングのためのさまざまなインターフェイス回路を有することだ。「Kinetisファミリの中で、最も豊富なアナログ処理回路を集積した」(同社)。

図1 図1 フリースケール・セミコンダクタのマイコン製品群「Kinetis」の新ファミリ「Kinetis K50」の位置付け Kinetisファミリの中で、最も豊富なアナログ処理回路を集積したことが特徴。

 例えば、16ビットのA-D変換回路や、D-A変換回路、プログラマブル利得アンプ(PGA)、オペアンプ、トランスインピーダンスアンプ、リアルタイムクロックなどがある。イーサネットやUSBインターフェイスの他、LCDコントローラや、タッチセンサインターフェイスなども周辺回路として用意した。

 対象用途は、携帯型の医療機器や、計測機器、産業用の検査/測定装置など(図2)。「機器の携帯化が急速に進む医療機器には、特にKinetis K50の特徴が生きる」(同社)。

 2011年4月にサンプル出荷を開始する。量産出荷は、2011年第3四半期に始める予定である。例えば、128Kバイトのフラッシュメモリを搭載し、64端子パッケージに封止した品種の1万個購入時の参考単価は、3.58米ドルから。

図2 図2 Kinetis K50の対象用途 対象用途は、携帯型の医療機器や、計測機器、産業用の検査/測定装置など。特に、携帯型の医療機器に適しているという。

 同社はこの他、「e200 Power Architecture」コアを採用した32ビットマイコン「PXシリーズ」を発表した。高性能と高集積を追求した品種で、モーション制御、発電装置、臨床医療機器、航空宇宙、防衛、再生可能エネルギの発電システム、ロボティクスなど、複雑な産業制御アプリケーションの要求を満たすという。

 最大600DMIPSのシングルコア性能を有し、オプションでマルチコアにも対応する。1つのマイコンで、最大6台のモーター制御、複雑な演算アルゴリズム処理、3つ以上の通信処理を同時に実行する性能を有しているという。最大4Mバイトの組み込みフラッシュメモリを搭載した。2011年第2四半期から順次、サンプル出荷を始める予定である。

独自コアとARMコアで最も広範囲なMCU製品群

 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンが、2011年3月3日に報道機関向けに開催したマイコン事業説明会には、同社の代表取締役社長のDavid M.Uze氏(図3)や、フリースケール・セミコンダクタのSenior vice president 兼Microcontroller Solutions GroupのGeneral managerを務めるReza Kazerounian氏(図3)が登壇し、MCU事業への取り組みを紹介した。

図3図3 図3 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンの代表取締役社長のDavid M.Uze氏(写真左)と、フリースケール・セミコンダクタのSenior vice president 兼Microcontroller Solutions GroupのGeneral managerを務めるReza Kazerounian氏(写真右)

 同社は、マイコンやDSPで構成する組み込みプロセッシング製品を、自動車や、ネットワーク機器、産業機器、民生機器という幅広い分野に提供している。

 Reza Kazerounian氏によると、現在、マイコンに対して、高性能、ソフトウエアの互換性の高さ、超低消費電力、開発の進めやすさという4つ異なる市場要求があるという。同社は、それぞれの要求に応える製品群を持っていると語った。「マイコン製品をコア事業の1つと位置付けており、業界でも最も広範なMCU(マイクロコントローラユニット)製品群を有する」(Reza Kazerounian氏)と強調した。

 例えば、民生分野や産業分野に対しては、32ビットのマイコンコアとして「Power Architecture」や「ARM Cortex-M4」、「ColdFire」を有する(図4)。Power Architectureコアのマイコンは、高性能を追求しており、ColdFireコアのマイコンはエントリーモデルのマイコンとして位置付けている。今後、、ColdFireコアのマイコンは、民生や産業のいくつかの用途に絞り、性能や周辺回路を最適化した「ASSP化したマイコン」として提供するという。

図4 図4 フリースケール・セミコンダクタが有するマイコン製品群の分類 業界でも最も広範なMCU(マイクロコントローラユニット)製品群を有することをアピールした。

 Cortex-M4コアを採用したARMマイコンは、民生や産業の広範囲な用途に、汎用マイコンとして提供する。Kinetisファミリ内で、ピン互換や周辺回路の互換性を有していることや、32Kバイトから1Mバイトとフラッシュ容量が異なる広範囲な製品群を製品化していることを売りにしている。

 なお、Cortex-MシリーズのCortex-M3コアやCortex-M0コアを採用したマイコンを製品化する計画は現時点ではないと説明した。当面は、Cortex-M4採用マイコンにのみ投資を続けるという。

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