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USNAPと米国電力中央研、スマートグリッド向けインタフェース規格を統合へビジネスニュース 業界動向

USNAP Allianceと、米国電力中央研究所(EPRI)は、宅内のさまざな家電をスマートグリッドに接続するためのインタフェース規格の策定に協力して取り組む。

» 2011年04月01日 16時09分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 宅内のエネルギー管理機器用のインタフェース規格の策定を手掛ける米国の業界団体「USNAP Alliance」と、米国電力中央研究所(EPRI: Electric Power Research Institute)は、宅内のさまざまな家電をスマートグリッドに接続するためのインタフェース規格の策定に協力して取り組む。両団体はこれまで、それぞれ独立して規格策定に取り組んでいた。今回の協力合意は、インタフェース規格の幅広い普及に向けた一歩だといえる。

 今回、USNAP AllianceとEPRIが協力して規格を策定することになったのは、米国標準技術局(NIST:National Institute of Standards and Technology)から要望を受けたことが理由だ。NISTは、スマートグリッドの実現に向けた規格策定を推進している。

 現在、スマートグリッドのデータを一般家庭にあるさまざまな家電に送るために、幾つかのプロトコルやネットワーク規格が規定されている。具体的には、「EPRI」や「USNAP」、「Smart Energy Profile」、「OpenADR」といったプロトコルが挙げられる。この他、ベンダーが独自に規定したプロトコルが採用されている場合もある。こうしたプロトコルでやりとりするデータは、Wi-FiやZigBee、あるいはベンダー独自のネットワーク規格であるZ-Waveなどを使ったネットワークを行き交うことになる。

 家電機器製造者協会(AHAM:Association of Home Appliance Manufacturers)は、Smart Energy 2.0とOpenADRをアプリケーション層の推奨規格として定めた。また、電力線通信規格である「HomePlug Green PHY」や、無線通信規格であるWi-FiとZigBeeをMAC層とネットワーク層の通信規格として採用した。

USNAPとEPRIは、6カ月後の規格完成を目指す

 米国の家電大手のWhirpool(ワールプール)は、スマートグリッドに接続可能な乾燥機を、2011年に100万台出荷する計画を公表した。同社は、USNAPとEPRIの規格統合が、この計画の実現に道を開くと期待している。

 USNAPとEPRIは、6カ月後の規格完成を目指し、策定作業を進める。USNAPとEPRIの規格には、EPRIが提案するコマンドセットが含まれ、Smart Energy 2.0とOpenADRの2つのプロトコルに対応する。

 EPRIのシニアプロジェクト・マネジャーを務めるBrian Seal氏は、報道資料の中で、「USNAPとEPRIの規格は、類似した要素技術で開発されており、基本的な用途もほぼ同じである。規格を統合するに当たって、さまざまな側面で大きな発展がある。具体的には、双方の規格の最も優れた特性を保ったり、協力関係にある標準化団体との連携を進める」と述べた。

 なお、EPRIは、主要な公共事業体を顧客に抱える研究所である。同研究所は2011年1月に、家電や通信といったさまざまな分野の企業と協力して策定した独自のインタフェース規格「Demand Response Socket Interface Specification」のドラフト版を発表した。このドラフト版では、電力ネットワークの規格である「Direct Current」が、給湯器などの低価格の家電に向けたシンプルなコマンドセットとして定義づけられている。この他、複雑なプロトコルも規定されていた。

 一方、USNAP Allianceは2010年12月、USNAP2.0に準拠した通信モジュールを発表した。2011年に入って、既に小規模のメーカー6社が、USNAP1.0を採用した製品の出荷を開始している。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】



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