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【続報】要望に応じてインターネット接続ルータを提供、NICTの被災地支援無線通信技術 震災復興

総務省所管の独立行政法人である情報通信研究機構(NICT)は、インターネット接続環境を構築できるコグニティブ無線ルータを、被災地の要望に応じて提供している。自治体や対策本部だけではなく、避難している個人からの直接の要望も受け付けている。

» 2011年04月18日 16時44分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 情報通信研究機構(NICT)は、東日本大震災の複数の避難所に、「コグニティブ無線ルータ」を使ったインターネット接続環境の構築を進めている(関連記事)。

 2011年4月5日に岩手県内の避難所の1つである大槌町立安渡小学校に設置した後、4月18日時点で15カ所の避難所に設置した。さらに現在、40台のコグニティブ無線ルータを被災地に送ったという状況だという。

 「要望に応じて、コグニティブ無線ルータを提供している。自治体や対策本部だけではなく、避難している方からの直接の要望も受け付けている」(NICTの担当者)という。連絡先は、下記の通り。

NICT ワイヤレスネットワーク研究所スマートワイヤレス研究室(電話046-847-5076)


 コグニティブ無線ルータとは、複数の無線通信方式に対応し、その時々の電波状況に合わせて最適な方式を自動的に切り替えるモバイルルータである。利用を始める手順は非常に簡単で、電源ケーブルを接続し、動作状態をオンにするボタンを押すだけ。

 その後は、複数の利用者が同時に、手持ちのノートPCやスマートフォンなどを使って、インターネットに接続できる。避難所に導入しているコグニティブ無線ルータが対応する無線通信方式は、NTTドコモの3G回線と、イー・モバイルの3G回線、ウィルコムのPHS回線。コグニティブ無線ルータを使う際に、利用者は通信事業者と新たに回線を契約する必要はない。設置後のコグニティブ無線ルータの利用状況は、NICTの管理サーバで一元管理している。

 NICTは、2010年9月以降、コグニティブ無線ルータを使った実証実験を、神奈川県の藤沢市を中心に実施してきた。実証実験では、合計500台のコグニティブ無線ルータを使用しており、避難所にはこの一部を回収して提供している。従って、500台までなら、現時点で提供可能だという。

 NICTは、総務省所管の独立行政法人。情報通信分野の研究開発や事業振興業務を幅広く実施している。

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