メディア
連載
» 2011年04月28日 12時36分 公開

Analog ABC(アナログ技術基礎講座):第29回 MOSFETを使ってオペアンプを設計 (2/3)

[美齊津摂夫,ディー・クルー・テクノロジーズ]

交流解析時にはバイアス点に配慮

 図2に、図1のオペアンプの入力電圧と出力電圧の範囲を示しました。グラウンドと電源電圧のほぼ全範囲で動作しているので、特性として申し分ないと思います。それでは次に、オープンループ特性の交流解析を実施してみましょう。

 オペアンプは、通常は、出力と入力を何らかの部品を介して接続し、ループを閉じて使うことがほとんどです。この状態の諸特性が安定かどうかは、部品を接続していないときの特性(オープンループ特性)で、位相余裕などを確認するのが一般的です。

図2 図2 オペアンプの入力電圧と出力電圧の範囲 グラウンドと電源電圧のほぼ全範囲で動作しているので、特性として申し分ありません。

 一般に、オペアンプのように、利得が非常に高い増幅回路の交流(AC)解析を実施するときには、バイアス電圧に十分な配慮が必要です。動作点の変化によって、交流特性が大きく変わるからです。

 図3(a)では、バイアス点を調整しなくても済むように、反転入力(V−)と出力VOUTを、大きなインダクタで接続し、負帰還を掛ける方法を使いました。つまり、直流では負帰還が掛かり、非反転入力(V+)と反転入力(V−)の動作点は等しくなります。これに対して交流では、インダクタのインピーダンスによって、反転入力(V−)と出力VOUTは電気的に切断されます。この状態で、信号源を容量結合で入力に接続することで、動作点を意識せずに交流解析を実施できます。

図3
図3 図3 オペアンプのオープンループ特性を確認 (a)は、オペアンプのオープンループ特性を確認するための回路です。バイアス点を調整しなくても済むように、反転入力(V−)と出力VOUTを、1MHと大きなインダクタで接続し、負帰還を掛ける方法を使いました。1MHのインダクタは、実在する部品ではなくシミュレーションのみで使います。直流ではインピーダンスが低くなり、負帰還が掛かります。交流ではインピーダンスが高くなることで、回路を電気的に切断するための部品です。できるだけ低い周波数領域まで切断状態にしたいため、実際にはありえない大きな値を使っています。次ページの(b)は、(a)の回路で確認したオープンループ時の交流解析の結果です。

 図3(b)は、図1に示したオペアンプの交流解析の結果です。横軸は周波数、縦軸は利得と位相です。利得が0dBとなる周波数は350MHzです。その周波数における位相(位相余裕)は約60度もあります。通常のオペアンプとしては、申し分ない特性だと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.