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屋内/屋外問わずシームレスな測位の実現へ、屋内GPSのコンソーシアムが設立センシング技術 IMES測位

屋内の測位システムである「IMES(Indoor MEssaging System)」の普及促進を目的とした業界団体「IMESコンソーシアム」が設立された。

» 2011年06月13日 07時30分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 屋外や屋内を問わないシームレスな位置情報取得の実現へ――。屋内の測位システムである「IMES(Indoor MEssaging System)」の普及促進を目的とした業界団体「IMESコンソーシアム」が設立された。

 発起人は、2011年6月3日時点で42名。立ち上げ当初は、個人会員のみで構成し、2011年秋をメドに事業化を目指した法人会員を募集する予定である。2011年6月23日に、設立総会および第1回総会を開催する(設立総会の詳細)。

サービス展開の下地が整う

 現在、GPS衛星から信号を地上で受信し、位置情報を取得する手法が広く使われている。しかしこの方式は、GPS信号の受信強度が大幅に下がる建物内部や地下街では、位置を取得できないという、いわば「弁慶の泣き所」がある。

 IMESコンソーシアム事務局を務め、コンソーシアム設立を呼び掛けた吉冨進氏は、「日々の生活を考えると、屋外よりも屋内にいる時間帯の方が長い。屋内、屋内問わず、位置情報をいつでも、どこでも確実に取得できることが必要だ。それを可能にするのが、IMES方式である」と語る。

 IMES方式は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、測位関連事業を手掛ける測位衛星技術が開発した。あらかじめ設置する場所の座標情報を格納した送信機(IMES送信機)を、建物内部や地下街などに幾つも設置しておく。ユーザー端末では、IMES送信機からの信号を受信することで、その時々の位置を測位できるというのが基本的なアイデアである(IMES方式を詳しく紹介した関連記事)。

図1 図1 屋内GPS(IMES)の利用イメージ

 吉冨氏は、かつてJAXAに在籍しており、その時に準天頂衛星「みちびき」を打ち上げるプロジェクトのまとめ役を務めていた。その取り組みの一環として、IMES方式の開発に携わった経験を持つ。技術的にインパクトがあり、将来性があるという評価を受けている割には、実際のサービスへの展開がなかなか進んでいないという問題意識があり、コンソーシアムの設立を呼び掛けたのだという。

 同氏は、「IMES方式を使ったサービスを展開する、さまざまな下地が整いつつある」と語る。送信側については、IMES送信用LSIが開発されるなど、小型化しつつ、コストを下げられる見通しがついてきた。受信側となる携帯電話機やスマートフォンは、既にGPS機能が搭載されている。IMES信号を受信して位置を算出するには、ハードウェアの変更は不要で、ファームウェアを変えるだけでよい。「IMESコンソーシアムの活動を通して、サービスの展開を促していきたい」(同氏)。

「日本発の技術を海外へ」

 IMESコンソーシアムは、「IMESの普及・発展と新たなビジネスを展開するために、個人や企業間で情報交換する場を提供すること」を、主な目的に掲げる。具体的には、広報活動や、IMES技術の標準化に向けた提言活動、IMES対応機器を利用したり設置するときのガイドライン作成などである。IMESを屋内測位の標準技術として普及させるべく、海外での活動も視野に入れる。

 なお、屋内で位置情報を取得する技術として、Wi-Fiを使った測位技術がある。端末の周辺にあるWi-FiのアクセスポイントのMACアドレスや電波強度という情報を基に、端末の位置を推定する手法である。この手法に比べてIMES方式は、送信機を設置する手間が掛かるものの、位置精度を高められるという特徴がある。

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