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» 2011年09月26日 06時30分 公開

実装技術:偽造チップを見逃すな! サプライチェーンからの締め出しに本腰 (2/2)

[Bruce Rayner,EE Times]
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締め出しに向けた連鎖反応が起こる

 米国政府は、知的財産権の侵害に関する取り締まりを強化する広範な取り組みの一部として、偽造チップへの圧力を強めている。オバマ政権は2011年3月に、知的財産権を保護する法令の強化を議会に呼び掛ける白書を発行した。この白書では特に、経済領域のスパイ行為に対して、法定最大収監期間を15年から最低でも20年に延長することを推奨した。

 これに対し米国の上院は2011年5月末に、知的財産権の法令を犯したり偽造品を販売したりするサプライヤーやWebサイトに狙いを定めた法案を提出することで応えた。民主党議員のPatrick Leahy氏は、「Preventing Real Online Threats to Economic Creativity and Theft of Intellectual Property Act of 2011(経済の創造性に対するオンラインの現実の脅威と知的財産の盗用を防ぐ2011年の取り組み)」という法案を提出した。これは、知的財産権を侵害したり、偽造品の販売や宣伝を行ったりしているWebサイトに対して、米国の司法省が法的な強制力を発揮できるようにするものだ。

 もしこの法案が法制化されれば、米司法省の力が海外にあるWebサイトにも届くようになり、法的な強制力の対象にはその違法サイトを運営する企業も含まれる可能性がある。

 ただし米国政府は、偽造業者の取り締まりを強化するために、こうした新しい法案の法制化を気長に待つつもりはない。

 2011年6月に、ICE傘下のNational Intellectual Property Rights Coordination Centerは米国の国防省と他の政府機関のサプライチェーンに入り込む偽造部品に的を絞った「Operation Chain Reaction(連鎖反応作戦)」を発表した。

 この作戦は、米国の他の8つの機関と協調して進めるもので、それらの機関にはFBIや、国防犯罪調査局(Defense Criminal Investigative Service)、国防兵站局(Defense Logistics Agency)、そして陸軍、空軍、海軍それぞれの調査部門が含まれる。

 国防省の副監察総監を務めるJames Burch氏は、「われわれのリソースを持ち寄ることで、不法な企業をもっと効率的に崩壊させ、排除できるようになる」と語った。

中国に照準を合わせよ

 このOperation Chain Reactionでは、米国の国境で偽造品を摘発する訓練を受けた専門家がサプライチェーンを監視する。一方で米国の上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)は、さらに遠く離れた地域にも目を光らせており、偽造部品の大本からその不法行為を止めようとしている。

 同委員会を代表する調査官の一団は、中国の広東省にあるシンセンに2011年3月に出張するという計画を立てていた。シンセンは香港から電車でそれほど時間がかからないところに位置している。シンセンからは既に偽造部品が米国の兵器システムに向けて供給されており、その活動を調査するのが一団の目的だった。複数の情報源によると、F15戦闘機や米国のミサイル防衛局(Missile Defense Agency)のシステムに組み込まれていたことが見つかった偽造部品は、シンセンが供給元になっていたという。しかし中国政府は、この一団に出張を延期するように要請し、渡航ビザ(査証)の申請を却下した。

 上院軍事委員会の会長を務めるCarl Levin氏は、この中国政府の要請に対し、「(同政府の関係者が)議会の公式な任務を負った者の入国を拒むことで、保身を図るということがあってはならない。(そうした行為は、結果的に)自らを窮地に立たせることになるだろう」とのコメントを返している。

 なぜ中国に照準が向けられるのだろうか? そしてなぜシンセンなのだろう? 「それは、全ての偽造部品のうち75〜80%が中国から来ているからだ。しかも、それらのほとんどはシンセンが供給元になっている」。ECIAのプレジデントであるRobin Gray氏はこう指摘する。

 前述の商務省の調査結果から判断すれば、部品メーカーもこの見方に同意している。この調査で部品メーカーが偽造部品の供給元として「確認済みもしくは疑いがある」と回答した国や地域の中で、中国は他を大きく引き離している状況だ。

図3 偽造部品の出所を国や地域ごとに示した。 出典:”Defense Industrial Base Assessment: Counterfeit Electronics, ” U.S. Department of Commerce, 2010.

 幾つかの要素がシンセンを偽造部品の温床たらしめている。第1に、この地域は中国で隆盛するエレクトロニクス産業の一大生産拠点であり、国際的な巨大エレクトロニクス企業が数多く軒を連ねている。第2に、電子部品を扱う独立系の商社や貿易企業の高度なネットワークが構築されている。そして第3に、偽造部品の“原料”となる廃棄されたエレクトロニクス機器をすぐに調達できる供給源が存在している。

 国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)は、中国が生み出すエレクトロニクス廃棄物の量は、米国に次いで世界で2番目に多いと推定する。その“爆心地”になっているのがグイユだ。シンセンと同じ広東省にあり、シンセンから南シナ海に沿って西に4時間ほど車を走らせるとたどり着く。

 グイユの一部の住人は、溶解液を入れたおけにフタもせずに、そこにプリント基板を浸して、実装されている部品や、鉛や銅、金といった材料を回収することで生計を立てている。こうして回収された部品や材料がシンセンのような町に持ち込まれ、もう一度きれいな状態に磨かれてから再パッケージされ、また売られていく。そうしたパッケージの一部には偽装のマーキングが施され、例えばカラオケ装置などにひそかに搭載される。そして、疑いを持たない米国の購入者に売られるという流れだ。

 禁制品である偽造部品を潜ませたカラオケ装置のような積み荷の一部は、サプライチェーンに流入する前に、検査で発見され、押収される。ただし業界の内幕に明るい情報筋たちは、それはますます巨大化する偽造部品の氷山のほんの一角にすぎないと、危機感を募らせている。

Profile

Bruce Rayner氏は、米EE Timesの特約記者で、ウェブキャストのホスト役も務める。Athletes for a Fit Planetの創設者であり、チーフグリーンオフィサーとして活動している。


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