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なぜ弱い? Intelのテレビ/スマホ関連事業ビジネスニュース オピニオン(2/2 ページ)

» 2011年11月02日 15時33分 公開
[Rick Merritt,EE Times]
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 大々的に掲げた戦略を、“成功しない”と分かった途端にすぐさま取り下げるという勇気や柔軟さを持ち合わせている点においては、Intelの右に出るものはいないだろう。

 だがこうした素早い決断と行動は、パートナー企業にショックを与え、次の戦略や開発計画で協力を得られないという事態を招く可能性もある。そうした過去の“失敗例”として、ワイヤレスUSBやASI(Advanced Switching Interconnect)、ネットワークプロセッサなどの事業が挙げられる。なお、ネットワークプロセッサ事業は、Intelからスピンアウトして創立されたNetronomeが引き継いでいる。

 もちろん、PCIやPCI Expressのように、大成功を収めたケースもある。また、x86系プロセッサが組み込みシステムに広く採用されていることは、今さら述べるまでもない。とはいえ、機器メーカーやその他のパートナー企業が、Intelの戦略に対して慎重な姿勢をとるのは当然のことだと言えるだろう。

 Intelの次なる主要戦略が、PC向けの高速データ送信技術「Thunderbolt」であるとは考えにくい。Thunderboltは、多くのPCメーカーが採用を検討してきたUSB 3.0と共通する点がいくつかある。Thunderboltを採用する主要なPCメーカーは、今のところAppleだけだ。Intelは、「AsustekとAcerも2012年にThunderboltを採用する」と主張しているが、これらのメーカーの製品に幅広く搭載される可能性は低いと思われる。

 何としてもタブレットPCやスマートフォン市場で躍進したいIntelにとって、Atomプロセッサを、新しいモバイル機器向けOSと併せて強力に推進することが最短経路なのかもしれない。だが、必ずしもそれが最善の方法になるとは限らないだろう。

 個人的には、IntelがInfineon Technologiesから買収した無線チップ部門を活用するのが適切な手法だと考えている。Intelは、同部門を、Appleなど主要な携帯電話機メーカーの動向を探るような部隊にするべきだ。つまり、Intelには、メーカー側の要求や課題を把握し、問題点を見つけたら早急かつ確実に解決するような部門が必要なのである。

 こうした顧客主導のアプローチは、半導体業界では長年にわたって行われてきたものだ。Intelは、そうした手法を学び、長い道のりにも耐えられる忍耐力を身に着けなければならない。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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