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» 2011年11月29日 10時00分 公開

ディスプレイ技術 電子ペーパー:電子書籍の次なる市場を掘り起こせ、産業/物流向け電子ペーパーの開発進む (2/4)

[前川慎光,EE Times Japan]

 例えば、凸版印刷グループ企業であるトッパン・フォームズは、HF帯(13.56MHz)のRFIDと電子ペーパーを組み合わせた「無線書き換え型バッテリーレス電子ペーパーラベル」を開発し、2011年10月に開催された「FPD International 2011」に出品した(図2)。

 流通/物流管理業界では、物品の管理作業の負荷の低減を目的に、RFIDの活用が拡大している。ただ、RFIDに書き込んだ内容を読み取るには、外部のリーダーライターを使ってPCなどに表示する必要があった。RFIDに電子ペーパーを組み合わせれば、書き込まれた内容を常に表示しておけるため、情報管理がしやすくなるというメリットがある。

図2 トッパン・フォームズの無線書き換え型バッテリーレス電子ペーパーラベル。写真左は、HF帯のリーダーライターで電子ペーパーラベルの表示を書き換えている様子。写真右は、電子ペーパーラベルの外観。表示部の厚さは0.4mm以下。ラベル全体のうち、通信を制御するコントローラ部でも厚さは0.7mm以下である。

 電子ペーパーラベル側には電池は搭載しておらず、外部のリーダーライターから無線で表示書き換え用の電力と表示データを供給する仕組みだ。表示するのに電力を消費しない電子ペーパーならではの使い方だろう。電子ペーパーラベルの表示部の厚さは0.4mm以下、通信を制御するコントローラ部でも厚さは0.7mm以下である。通信距離は最大7cmで、書き換え時間は約1秒。1枚の電子ペーパーラベルを10万回以上書き換えて使えるという。

 小売業や物流、製造といった用途に数多くの電子ペーパーを提供している凸版印刷によれば、顧客からの引き合いは多いものの、部品コストが採用の障壁になり、まだ市場が立ち上がっていない状況だという。ただ、将来的には市場の拡大が期待できると考え、電子ペーパー事業への取り組みを強化している。同社は2011年4月、台湾Chimeiグループの中核企業であるChi Lin Technologyと電子棚札や電子ラベルなどの産業分野向け電子ペーパー事業で協業することに合意した。凸版印刷は、Chi Lin Technologyが子会社として設立した産業分野向け電子ペーパーモジュールの販売およびソリューション開発を行うPervasive Displayに出資し、Pervasive Displayの製品/ソリューションの日本市場への販売を2011年5月1日より本格的に開始している。

ブリヂストンや大日本印刷も製品化

 この他、ブリヂストンや大日本印刷も非接触で書き換え可能な電子ペーパーラベルを製品化している。ブリヂストンがデルタ電子と共同で製品化したのが、ビジターカード(名刺カード)や工程指示カードを対象にした4.1インチ型フレキシブル電子ペーパーラベルである(図3)。RFIDを搭載した電子ペーパーラベルをリーダーライターに置くことで、非接触でデータを書き込む。書き込んだ情報は電子ペーパーにすぐに反映されるため、作業の工程指示カードや名刺カードとして使えるわけだ。電子ペーパーラベルには電池を搭載しておらず、データ書き換え時に必要な電力は、「電磁誘導」を使った非接触技術で送電している。

図 図3 ブリヂストンがデルタ電子と共同で開発した非接触で書き換え可能な電子ペーパーラベル ビジターカード(名刺カード)や工程指示カードに使うことを提案している。表示データとともに書き換えに要する電力を非接触で送る。

 一方の大日本印刷は2011年11月に、イシダサイネージテクノロジーの全株式を取得し、無線書換え方式の電子ペーパー表示システム事業を取得した。イシダサイネージテクノロジーはこれまで、電子ペーパーとそれに表示するデータを配信するサーバ、無線通信のアクセスポイントを組み合わせたシステムを提供しており、生産現場において作業指示データを配信するシステムに採用された実績があるという。大日本印刷は、イシダサイネージテクノロジーの名称をDNPサイネージテクノロジーに変更するともに、大日本印刷のサービスと組み合わせ、デジタルサイネージや店舗広告(POP)、オフィスシステムといった用途の開拓に取り組む。

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