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LTEや40G/100GbEで帯域の危機に立ち向かう、スマートグリッドや太陽電池もEE Times誌が選ぶ2012年の注目技術20(後編)(1/2 ページ)

米EE Timesの編集部が選んだ「2012年に注目すべき20の技術」の後編。40G/100Gビット/秒イーサネット、LTE、ホワイトスペース利用の無線といった各種通信技術や、スマートグリッドや太陽電池などエネルギー技術など、合わせて10の技術に注目する。

» 2011年12月26日 07時31分 公開
[Peter Clarke, Rick Merritt, Nicolas Mokhoff,EE Times]

 米EE Timesの編集部が選んだ「2012年に注目すべき20の技術」の後編をお届けする(前編はこちら)。

注目技術その11 グラフィックス/GPGPU

 製品によっては、メインプロセッサの性能よりも、グラフィックスやユーザーインタフェースの性能に基づくルックアンドフィールの方が重要になる。そう考えると、グラフィックスコアが、単に2D/3Dの画像をレンダリングするという以上の仕事をしていることが分かるだろう。

 GPGPU(General-purpose Graphics Processor Unit)に、ベンダーが動作を保証するコードライブラリが付属されるようになることを期待しよう。また、GPGPUを使った画像レンダリングに向けた並列処理言語についてもチェックしておきたい。

GPGPU GPGPUは、分子モデリングの高速化にも貢献している。

注目技術その12 リソグラフィ技術

 米EE Timesは今後も、EUV(極端紫外線)リソグラフィの他、マルチビームリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、インプリントリソグラフィといった各種リソグラフィ技術の動向を追いかける。微細化を続けるには、液浸フォトリソグラフィを超えるブレークスルーが不可欠である。

IMECのEUV ベルギーの独立研究機関であるIMECが導入したEUVリソグラフィ装置

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注目技術その13 太陽電池

 太陽電池には、シリコン系、非シリコン系、単結晶、多結晶、薄膜といったさまざまな種類がある。いずれもコストや変換効率、フォームファクタが異なる。技術の進化に伴い、太陽光発電事業のあり方、補助金の支給方法なども変わっていくだろう。

銅配線を採用した太陽電池 電極材に銅めっきを使用したシリコン太陽電池 IMECが開発した。

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注目技術その14 ホワイトスペース利用の無線

 ホワイトスペースは、地上デジタルテレビ/ラジオ放送に割り当てられた周波数のうち、実際には使用されていない周波数帯である。M2M(Machine to Machine)通信などに活用できる可能性がある。

NeulNET Neulの「NeulNET」 ホワイトスペースを利用する無線データ通信装置。米FCC(連邦通信委員会)の規格に準拠している。

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注目技術その15 LTE

 過剰なマーケティングに走る通信事業者は、高速無線ネットワークなら何でも“4G(第4世代)”として宣伝してしまうかもしれない。だが、真に4Gを名乗れるのは、LTE(Long Term Evolution)規格に準拠したサービスだけである。LTEが大きなインパクトを持っていることは確実だ。

 LTEは、最高速度のデータ通信を追及する次世代のベースバンドチップやスマートフォン、組み込み製品の普及を後押しするだろう。QualcommやNVIDIAは、LTEに対応するアプリケーションプロセッサを2012年に発表するとしており、競合メーカーとの差異化を図ろうとしている。半導体ベンダーやIP(Intellectual Property)ベンダーも、LTEをどのように実装するかでしのぎを削っている。一方で、携帯電話機メーカーによるLTE導入への取り組みは、いまだ初期段階にある。

 LTEによって今までと違う際立ったアプリケーションが登場する見込みは、今のところ無い。だが、いずれにしても通信事業者は、「iPhone」やAndroidベースのスマートフォンの普及によって深刻化している“帯域幅の危機”を緩和するために、LTEを導入することになるとみられている。

 LTEは、“オールIPネットワーク”への大きな一歩といえるだろう。すなわち、携帯電話機からコアルーターやスイッチまでの全てのデータがデジタルパケットとなる日が近づいているということだ。1世紀にわたり電話の技術を支えてきたアナログ方式のスイッチとも、そろそろお別れだ。

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注目技術その16 40G/100Gビット/秒イーサネット

 サーバのマザーボードにいよいよ10Gビットイーサネット(GbE)が搭載され始めている。有線ネットワークの世界で“次”の大きなトピックは、40GbE/100GbEだ。通信事業者やデータセンターは、コアバックボーンネットワークの拡張に向け、40GbE/100GbE技術を導入したいと考えている。

 現時点では、40GbE /100GbEは消費電力が大きく、ボードのサイズが大きい上に、導入に多額のコストがかかる。しかし、コストや容積を低減する光技術やシグナリング技術の革新を先導しているのはこの分野であり、この分野で起こった革新はやがて業界全体に広がっていく。

 一方、業界では、40GbE/100GbEのさらに“次”に来る技術についても、活発な議論が始まっている。多くのエンジニアが、「イーサネット技術は物理的な限界に近づいており、妥当なコストで実用化するのは難しくなる」と感じている。数年後には400GbEの標準規格が策定されるとみられるが、その実用化には、シリアライザ/デシリアライザの新技術を開発する必要があるだろう。その先は、いったい何が実現可能なのか、それがいつになるのか。今の時点では全く分からない。

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