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SiCデバイス搭載のEV用電動システムが進化、容積を従来比で40%削減カーエレ展/EV・HEV展

安川電機は、SiCデバイスを用いたEV用ドライブシステム「SiC-QMET」を改良した。従来は別々になっていたモーターとインバータを一体化することで、システム容積を40%削減している。

» 2012年01月19日 07時35分 公開
[朴尚洙,EE Times Japan]

 安川電機は、「第4回国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレ展)/第3回EV・HEV駆動システム技術展(EV・HEV展)」(2012年1月18〜20日、東京ビッグサイト)において、SiC(シリコンカーバイド)デバイスを使った電気自動車(EV)用ドライブシステム「SiC-QMET」の改良版を展示した。

 2011年1月に発表された既存のSiC-QMETは、同社独自の電子式巻き線切り替え技術を採用したEV用ドライブシステム「QMET(Qualified Magneto-Electronics Transmission)」をベースに、巻き線の切り替えやインバータの制御回路に用いるパワー半導体を従来のSi(シリコン)デバイスからローム製のSiCデバイスに置き換えたものである。これにより、QMETと比べてシステムの小型化や変換効率の向上を実現している(関連記事)。

 今回展示した改良版のSiC-QMETは、従来のSiC-QMETでは別々になっていたモーターとインバータを一体化することで、システム容積を40%削減した。従来のSiC-QMETの場合、モーターの巻き線とインバータの間は、ワイヤーハーネスや端子台を介して接続していた。これは、200℃以上の高温になる巻き線の熱がインバータに直接伝わってスイッチング動作などに不具合が起こらないようにするための対策である。

改良版のSiC-QMETインバータ部のスケルトンモデル 左の写真はモーターとインバータを一体化した改良版の「SiC-QMET」。右の写真は、改良版SiC-QMETの左側の部分の内部回路を示したスケルトンモデルである。(クリックで拡大)

 改良版SiC-QMETでは、インバータのSiCパワーモジュールに、225℃でも動作が可能な高温対応技術を採用している。これにより、「モーターの巻き線とインバータを直接接続しても動作に不具合が起らなくなるので、モーターとインバータを一体化できるようになった。ワイヤーハーネスや端子台を省けるので、システム容積を大幅に削減できた」(安川電機)という。改良版SiC-QMETの仕様は以下の通り。最高回転速度は1万2000回転/分で、最大出力は65kW。外形寸法は直径280×長さ419mmで重量は55kgである。

 また、インバータのSiCパワーモジュールは、オン抵抗の小さいトレンチ型SiC-MOSFETを搭載している。従来のSiC-QMETは、モーターに組み込んである巻き線の切り替え制御回路にトレンチ型SiC-MOSFET、インバータにオン抵抗が比較的大きいプレーナ型SiC-MOSFETを用いていた。このインバータのプレーナ型SiC-MOSFETをトレンチ型SiC-MOSFETに置き換えることにより、変換効率を従来の96%から98%に向上させることができた。

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