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「これじゃユーザーが開けられない」、AppleのネジをiFixitのCEOが批判製品解剖 オピニオン

Appleの新型ハードが発売されるといち早く分解し、その様子をWebサイトで公開することで知られる「iFixit」。運営企業のCEOによれば、Appleは「iPhone 4」でネジを従来の一般的な形状とは異なる特殊な形状に変更しており、その狙いはユーザーに中を開けさせないようにすることだと言う。

» 2012年02月06日 14時00分 公開
[Sylvie Barak,EE Times]

 「ユーザーは、自分の所有するハードウェアを自分自身で修理する権利がある。これは、それを奪う行為だ」――。iFixitのCEO(最高経営責任者)を務めるKyle Weins氏は、米国カリフォルニア州サンタクララで開催された電子機器設計技術の学会兼展示会「DesignCon 2012」(2012年1月30日〜2月2日)で、Appleが最近、製品に使うネジを、フィリップス型の標準的な十字型(プラス)のネジから、耐タンパー性がある新しいネジに切り替えたことを批判した。iFixitは、同名のWebサイトを運営する米国企業で、Apple製品を中心としたデジタル機器のユーザーに向けて、無償の修理マニュアルや製品分解の様子を公開している他、修理用部品の販売を手掛けている。

 CEOのWeins氏は以前から、「ハードウェアは、ユーザーが自分自身で修理できるように設計されているべきだ」という持論を掲げており(参考リンク:同社が掲げる“ハードウェアマニフェスト”、Appleがネジを今回のように変更したことは「言語道断だ」と糾弾した。

Appleが採用しているネジ Appleが採用しているネジ

 同氏によると、Appleはスマートフォンの「iPhone 4」で、新たな形状のネジを採用した。そのネジは、頭部の形状が標準的なヘックスローブ型(いわゆるトルクス規格品)とは異なっており、一般に販売されているドライバ(ネジ回し)では取り外せない。そこでiFixitは急きょ、この特殊なネジを取り外せるドライバを独自に製造したという。

 さらに同氏は、Appleがこのネジを採用した理由を、「頭部の形状が新しいので、修理用の工具が(一般消費者であるユーザーには)入手しにくく高価だからである」(同氏)と分析しており、「Appleの狙いは明白だ。つまり(ユーザーに)中を開けさせないようにすることである」と述べている。

 Appleが新たに採用したネジの頭部は、トルクス規格品に類似してはいるものの、形状が丸くなっており、トルクス規格品では6つある耳たぶ状の曲線部が5つしかない。Appleのサービスマニュアルでは、このネジを「Pentalobular(5つの耳たぶ形)」と呼んでいる。

 iFixitのWeins氏は、ユーザーが自分の所有するハードウェアを修理する権利を取り戻すための解決策として、「この厄介なネジを取り外して、旧モデルのiPhoneに使われていたPhillips Screw製のネジに交換する」(同氏)ことを勧めている。実際にiFixitは現在、「iPhone 4 Liberation Kit」を9.95米ドルで発売しており、このキットには同社がPentalobeネジ用に設計したドライバと、交換用のフィリップス型プラスネジ2個、フィリップス型の標準的なドライバが同梱されている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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