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太陽電池向けの透明導電膜市場、2016年には3億ドル規模にビジネスニュース 市場予測

太陽電池メーカーの倒産が相次いだり、発電パネルの売上高が減少したりするなど、伸び悩みが続く太陽電池市場だが、薄膜導電膜のサプライヤにとっては明るいニュースもあるようだ。

» 2012年02月23日 11時03分 公開
[Julien Happich,EE Times]

 米国の市場調査会社であるNanoMarketsは、太陽電池市場向け材料に関する最新のリポート「Transparent Conductors in Thin-Film and Organic PV Applications 2012(薄膜系太陽電池と有機薄膜太陽電池向け透明導電膜市場調査 2012年)」を発表した。同社はその中で、太陽電池用途の透明導電膜(TC)の市場規模が今後、年平均成長率30%を上回る勢いで伸びて、2012年は約9000万米ドルに達し、さらに2016年には約3億米ドルに達するとの予測を明らかにした。

 太陽電池市場は現在、全体としては成長スピードが減速する時期に突入しつつあるが、TCサプライヤにとっては明るいニュースもある。NanoMarketsによると、TCを使用する薄膜系太陽電池および有機薄膜太陽電池は、単結晶シリコン(c-Si)太陽電池に対して市場シェアを拡大しつつあるという。さらに、薄膜太陽電池市場の成長が加速することにより、政府による補助金の減少や世界経済の減速などといった問題が相殺されることになるようだ。

 In(インジウム)を使用しないTCO(透明導電性酸化物)は、既存の製造法にほとんど影響を及ぼさないため、今後も太陽電池市場において、ITO(酸化インジウムスズ)の市場シェアを奪いながら拡大し続ける見込みだ。またTCOは、ITOよりもコストが低くて安定供給が可能な上に、処理の温度範囲や、他の薄膜系太陽電池に対する適合性などをみても、太陽電池用途としてはITOより適している場合が多いという。太陽電池向けのTCOの市場規模は、2016年までに約1億米ドルに達する見込みだという。

 TCOの新しいターゲットシステムの実装や、蒸着プロセスを可能な限り従来の平面型ターゲットからより効率的な回転型ターゲットへと移行させる取り組みを進めることで、太陽光パネルメーカーの収益にも直接的な影響が出てくるだろう。TCのサプライヤと装置メーカーがともにパネルメーカーと協力し、既存の蒸着法の最適化を推し進めれば、TCの移動度を改善でき、それによって単位電力当たりのコストを削減できるだけでなく、グリッド環境に向けた特殊な薄膜太陽電池技術の市場競争力も高まると期待されている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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