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TEDが半導体ストレージの新機種を発売、容量とアクセス性能が2倍以上にメモリ/ストレージ技術 NAND型フラッシュメモリ

TEDはこのほど、2011年1月より販売してきた半導体ストレージ「ioDrive」の後継機種を発売した。従来機種に比べて、読み取り/書き込み速度やデータアクセス性能を2倍以上に高めつつ 、価格は約3割低く設定した。

» 2012年03月14日 13時51分 公開
[EE Times Japan]

 東京エレクトロンデバイス(TED)は2012年3月13日、東京 都内で記者説明会を開催し、同社が2011年1月から国内市場で販売している半導体ストレージモジュール「ioDrive」の新型機種「ioDrive2」を発売すると発表した(図1)。ioDrive2は、従来機種のioDriveに比べて記録容量が2倍に増加した上、データアクセス性能と読み取り/書き込み速度もそれぞれ2倍以上に向上している。さらにアクセス遅延(レイテンシ)も1/2に削減したという。

ioDrive2 図1 「ioDrive2」 1.2Tバイト機。この中に、64個のNANDフラッシュチップを内蔵するモジュールを3個搭載している。

 ioDriveは、NAND型フラッシュメモリを使用したストレージモジュールで、米国のFusion-ioが開発/製造する。データセンターや研究機関のストレージシステムなど、ストレージ装置の性能がシステム全体のスループットのボトルネックになりやすい用途に向けて、ハードディスク装置(HDD)を置き換える製品として提案中だ。ioDriveの特徴としては、同じくフラッシュメモリを利用するストレージ装置のSSD(Solid State Drive)に比べて、レイテンシを短く抑えられることが挙げられる(関連記事:「SSD」の限界超える半導体ストレージ、TEDが高速/低遅延のフラッシュモジュール販売)。Fusion-ioによれば、ioDriveはPCI Expressバスを介してホスト側に直接アクセスできるので、SSDとは異なりRAIDやSAS/SATAコントローラを介してホスト側にアクセスする必要が無く、それがレイテンシの短縮につながっているという。

 ioDrive2は、このioDriveの特長をさらに強化しつつ、搭載するNANDフラッシュメモリの微細化を進めることで、前述の通り記録容量を2倍以上に増やすなどの改良を施した。微細化については、ioDriveでは3Xnm世代のフラッシュメモリを用いていたが、ioDrive2では最新世代である2Xnm品を採用したという。

 ただし一般にNANDフラッシュメモリは、単に微細化を進めただけでは、コスト当たりの記録容量を増やせる半面、各セルに記録したビットの1/0判別が難しくなりストレージ素子としての信頼性が低下してしまう。これについてFusion-ioの会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるDavid Flynn氏(図2)は、「コントローラICとソフトウェアを改善することで、NANDフラッシュメモリの信頼性の低下というデメリットを克服しつつ、読み取り/書き込み速度とデータアクセス性能それぞれの向上を実現した」と説明した。

Fusion-ioのDavid Flynn氏 図2 Fusion-ioのDavid Flynn氏 東京エレクトロンデバイスが3月13日に開催した記者説明会に登壇した。

 ioDrive2の仕様を、ioDriveと比較して見てみよう。ioDrive2の1.2Tバイト機は、ioDriveの640Gバイト機種に比べて、読み取り速度が750Mバイト/秒から1.5Gバイト/秒に、書き込み速度が550Mバイト/秒から1.3Gバイト/秒に向上した。データアクセス性能の指標であるIOPS(I/O Operations per Second)は、読み取り時が9万3000IOPSから14万3000IOPSに、書き込み時が14万5000IOPSから47万5000IOPSに高まっている。レイテンシについては、30μsから15μsに半減した。

 Fusion-ioは、ioDrive2の製品ラインアップとして、1.2Tバイト機の他、365Gバイト機と785Gバイト機、2.4Tバイト機を用意している。このうち2.4Tバイト機は、ioDrive2を2個組み合わせた「ioDrive2 Duo」として提供する。TEDは、いずれの機種も既に国内向けの出荷を開始しており、価格は365Gバイト機で約70万円からに設定している。

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