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AT&TとQualcommがホームネットワーク製品を発表、IoT分野の競争はいよいよ本格化ビジネスニュース M2M

AT&TとQualcommが、IoT(モノのインターネット)の普及に向け、ホームネットワーク製品を先陣を切って発表した。今後、同分野における競争が本格化するとみられる。

» 2012年05月14日 11時25分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 AT&TとQualcommの各社は、ホーム/ビルオートメーション向け製品の幅広いエコシステムを発表した。AT&Tの「Digital Life」とQualcommの「M2MSearch.com」はどちらも、今後の発展が期待される“モノのインターネット(IoT:Internet of Things)”に向けた製品となる。

 筆者は約15年前、「Microsoftは、『Windows』をホームネットワークに対応させるための基盤の構築を、ひそかに検討している」という記事を書いた。その当時、同社の考えは、実際に開発して製品化されている最先端技術のさらに先を行くものだった。

 AT&Tは、2012年5月8日〜10日に米ルイジアナ州ニューオーリンズで開催された無線関連の展示会「CTIA Wireless 2012」で、Digital Lifeを発表した。同社は、幅広いサービスを提供するDigital Lifeを、10億米ドル規模の事業と位置付けている。Digital Lifeは2012年夏に、米ジョージア州アトランタと米テキサス州ダラスで試験運用を開始するという。

 Digital Lifeは、ホームオートメーションプラットフォーム「Xanboo」をベースとし、Wi-FiやINSTEON、ZigBee、Z-Waveといった無線通信規格を、Honeywell Internationalなどが提供するセキュリティシステムに対応する1つのサービスとして統合したソフトウェアプラットフォームである。AT&TはXanbooをDIY(Do It Yourself)型のサービスと位置付けているが、同社はこれをカスタマイズして、“プロフェッショナルな監視と設置”を提供する派生バージョンも用意する考えだ。

 Xanbooサービスは、Wi-Fi対応の赤ちゃん監視用カメラやおねしょセンサー、暗視カメラ、ゲートウェイ、動作検知装置、警報装置、温度センサー、水温センサーなど、少なくとも30種類のデバイスに対応しており、これら全てのデバイスをIPネットワークに接続して、ホームネットワーキングを実現する。

 AT&Tは、「業界で初めて、オールデジタルの監視センターを2カ所に設立した」という。将来的には、2300に上る同社の小売店や専用のコールセンターなどを通して、Xanbooサービスを販売したいとしている。

 ホームネットワーキングは今後、同社の主流事業となっていくとみられる。

 AT&Tと同様にホームネットワーキングを主流事業と位置付け、この時流に乗ろうとしているのがQualcommだ。同社は2012年5月8日に、M2MSearch.comというWebサイトを立ち上げた。同サイトを通じて、同社の携帯電話機向けチップと、2011年に買収したAtheros CommunicationsのWi-Fiチップに対応したモジュールやシステムを提供していく。面白いことに、同サイトには、Qualcommのチップを搭載した携帯電話機向けモジュールのサプライヤ十数社が名を連ねているが、Wi-Fiカードのメーカーはわずか2社だけしか掲載されていない。

 Qualcommの野望は、ホームネットワークよりもさらに大きい。同サイトには、自動車、産業オートメーション、小売、企業といった分野に加え、より幅広いモノのインターネットに対応する製品が掲載されている。AT&Tも将来的には、Qualcommと同様に、さまざまな分野に対応したサービスを提供していくとみられる。

 Qualcommのホームネットワーキングにも、AT&Tと同じく、さまざまなネットワーク技術が使われる。Qualcommの携帯電話機向けチップやM2M(Machine To Machine)アプリケーションに適したWi-Fiチップセットの他、2009年にIntellonを買収したことで、電力線データ通信の推進団体である「HomePlug Powerline Alliance」のネットワーク規格にも対応している。

 5〜10年前には、無線LANや有線LAN、同軸ケーブルといったネットワークの物理層に関する議論が盛んだった。現在は物理層に関する議論は収束し、ネットワーク技術は新たなステージを迎えたといえる。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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