太陽電池の変換効率を高める試みが止まらない。
ここ20年、さまざまな方式が登場してはいるものの、変換効率競争の先頭を走っているのは常に多接合太陽電池だ。これは、米国のNREL(National Renewable Energy Laboratory、国立再生可能エネルギー研究所)が公開する最新の資料を見れば明らかだ(図1)。
シャープは2012年5月31日、3接合の太陽電池セルで変換効率43.5%という記録を達成したと発表した(図2)。集光時の変換効率であり、図1と比較すると世界タイ記録だということになる*1)。受光面の電極間隔を最適化し、電気抵抗を最小限に抑えることで達成したという。
*1) シャープの記録は、米Solar Junctionが2011年に400倍集光時に達成した変換効率43.5%と同じ値である。
シャープの方式は「化合物3接合太陽電池」と呼ばれる。基本的な考え方はこうだ。太陽に向かって最上位の層(トップ層)でエネルギーの高い短波長の光を吸収し、中間層(ミドル層)で中程度の波長を、最下層(ボトム層)で長波長の光を吸収することで、太陽光スペクトルから可能な限り大量の電力を取り出すというものだ(図3)。それぞれの層にIII-V族の化合物半導体を用いているために化合物3接合と呼ぶ。
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