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» 2012年06月11日 08時00分 公開

「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(3):エンジニアが英語を放棄できない「重大で深刻な事情」 (3/6)

[江端智一,EE Times Japan]

海外に放り出される割合は何%?

 ここで「1〜2週間程度の短期の海外出張」の被害に遭う人を、乱暴ですが、もっぱら製造業小売卸売業に限定しました。根拠は、ある書籍*3)の中で「海外展開」という文字が出てきた分野(自動車、半導体、デジタル素材、コンビニ、専門店)から、無理やり引っ張りました。

 製造業と小売卸売業の人口はそれぞれ1000万人で合計2000万人で、「短期商用・業務」の渡航人口である約260万人/年の内訳は、製造業が165万人/年、非製造業が95万人/年と推定できます*4)。従って、製造業に注目すると「1〜2週間程度の短期の海外出張」の被害に遭う確率は165万人/1000万人と計算でき、これだけでも先ほどの4%は17 %まで跳ね上がります。少し不安になってきたと思います(図2)。しかし、話はまだまだ終わりません。

図 図2 「1年間」で短期海外出張者となる確率(試算)

 海外展開の実績のある会社に就労している場合に限定すると、驚くような数値に変わってきます。現在、海外事業をしている法人の従業員合計数*5)が446万人で、そのうち、製造業が占める数が280万人、非製造業が166万人になっておりますので、この比率は、大体7:4となります。先ほどの「1〜2週間程度の短期の海外出張」の合計260万人のうち、7/11(63.6%)に相当する165万人程度が製造業の方であると推定すると「1〜2週間程度の短期の海外出張」の被害に遭う確率は、

165万人 / 280万人=59%

 どうですか。一気に青ざめるような数字になってきたでしょう。念の為、個人的に 2つの製造メーカーを調べてみたのですが、1社は29%、もう1社は58%との回答をいただきましたので、「あまり大きく外れていないかなぁ」と考えています。しかし、これは、あくまで1年間だけの話です(図3)。

最楽観的な値「17%」の意味

 最も楽観的な値17%とは、1年間で83%は逃げられるという確率を示しているにすぎません。2年間連続して逃げられる確率は、83%を2回かけた数値69%となります。

 サイコロで考えてみましょう。「毎年、元旦の1月1日にサイコロを振って、『1』の目が出たら、その年は海外に出張しなければならない」という話と同じです。サイコロで「1」の目が出る確率は1/6(偶然にも17%)ですので、「1」が出ない確率は83%になります。2年連続で「1」が出ない確率は、83%の83%で、69%となるわけです。3年間連続なら3乗、4年連続なら4乗です。5年連続で「1」が出ない確率は39%になります。

 つまり、5年連続で、短期海外出張から逃げ切れる確率は39%しかないと言うことで、それは、61%の確率で「海外に追い出される」ことになります。 一方で最も悲観的な数値59%を使うと、5年連続で逃げ切れる確率は1%になります。これは「逃げ切れない」と同じ意味です。第1回で申し上げた通り、エンジニアとしての余命が「長い」ほど、不利なのは明快です。

図 図3 短期海外出張者となることから逃げ切れる確率(試算)

 ただし、上記の内容は多くのデータをかき集めて、仮説の上に仮説を重ねた計算結果です。例えば、現実には短期渡航を繰り返すリピーターの存在を考慮する必要がありますが、これは確率の議論とは別の問題として、今回は取り上げていません。

 そこで、公的機関や教育機関、有意識者の方で、「正確な数値データ」をご提供いただけるお申し出があれば、私は、どこにでも出向いて、喜んでお話をおうかがいし、即座にデータを修正する用意があります。本連載のデータ解析は「週末研究員」として行っておりますので、休日をご指定いただければ、スターバックスから、牛丼の吉野家、公園のベンチに至るまで、どこにでも参上いたします。ただし、ホテルのレストランなどは、江端家の財政上、少々難しいことをあらかじめご了承ください。

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