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2012〜13年は目が離せない!! 新たな社会インフラ導入へ無線技術の準備整う無線通信技術 スマートメーター(1/7 ページ)

スマートグリッドやスマートハウスといった、新たな社会インフラを対象にした無線通信技術の準備が整い、2012〜2013年に掛けて、いよいよ機器開発の段階に移行しようとしている。キーワードとなるのは、「920MHz帯」、「IEEE 802.15.4g」、「Wi-SUN Alliance」、「ZigBee Smart Energy Profile(SEP) 2.0」、「ECHONET Lite」などだ。

» 2012年07月02日 14時30分 公開
[前川慎光EE Times Japan]

 電気やガス、水道などの検針メーターにネットワーク接続機能を搭載し、無線通信を介してデータを効率的に収集する「スマートユーティリティネットワーク(SUN)」や、単独で動いていた家電や宅内設備を連携させてエネルギー効率や生活の快適性を高める「スマートハウス」、宅内やビルのエネルギー管理システム(HEMS/BEMS)――。

 これら新たな社会インフラを形作る、さまざまなネットワークを対象にした無線通信技術の準備が整いつつある。先駆的な研究開発や実証実験、標準規格の策定、新たな周波数帯の開放といった導入に向けた前段階から、いよいよ2012〜2013年に掛けて、機器開発の段階に移行しようとしているのだ。

 キーワードとなるのは、「920MHz帯」、「IEEE 802.15.4g」、「Wi-SUN Alliance」、「ZigBee IP」、「ZigBee Smart Energy Profile(SEP) 2.0」、「ECHONET Lite」などである。新たに開放される周波数帯、新たな標準規格、そして新たな業界団体―――。今変わりつつある社会インフラをめぐる、技術開発や製品開発、標準化の動向を追った。

図 無線ネットワークの各層で、スマートメーターやスマートホームへの適用を想定した準備が整ってきた


ちょっとその前に、キーワードをチェック!

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920MHz帯

2012年7月25日に日本国内で本格的に開放される周波数帯。2.4GHz帯より電波の到達性が高く、430MHz帯の特定小電力無線よりも高いデータ伝送速度を実現できるなど、バランスが良く干渉の少ない周波数帯であるため、スマートメータやスマートホームといった用途に活用できると期待されている(関連する資料が掲載されたZigBee SIG-JのWebサイト)。


IEEE 802.15.4g

各種検針メーターにネットワーク接続機能を搭載し、無線通信を介してデータを効率的に収集する「スマートユーティリティネットワーク(SUN)」などの用途を想定し、既存のIEEE 802.15.4の物理層仕様を拡張・修正したもの。2008年に策定作業が始まり、2012年4月に正式に発効した(IEEE 802.15 Task Group 4gのWebサイト)。いわば、スマートメーターやスマートホーム向け無線の土台ともいうべき重要な規格。


IEEE 802.15.4e

IEEE 802.15.4の物理層仕様の変更に伴ったMAC層の変更が取りまとめられている。幾つかの目的(Scope)が規定されているが、IEEE 802.15.4gの策定に伴い、間欠型の低消費電力動作などが追加された(IEEE 802.15 Task Group 4eのWebサイト)。


Wi-SUN Alliance

IEEE 802.15.4gをベースにした無線仕様(Wi-SUN仕様)の相互接続性試験の運用や、普及促進のための各種活動を目的にした業界団体。2012年1月に誕生した。IEEE 802.11系の業界団体「Wi-Fi Alliance」と同じような存在を目指す。設立時のプロモーター企業は、Analog Devices、富士電機、村田製作所、情報通信研究機構(NICT)、オムロン、大崎電気工業、ルネサス エレクトロニクス、Silver Spring Networksの合計8社(Wi-SUN AllianceのWebサイト)。


ZigBee IP

ZigBeeネットワークをインターネットプロトコル(IP)ネットワークに接続するための通信プロトコルで、MAC層より上位のレイヤーとアプリケーション層の間のレイヤー(アダプテーション層、ネットワーク層、トランスポート層)を規定している。「Smart Energy Profile 2.0」、「ECHONET Lite」または独自アプリケーションプロファイルを組み合わせることが想定されている。


ZigBee Smart Energy Profile(SEP) 2.0

ZigBee Allianceが策定したスマートエネルギー分野を対象にした規格で、OSI参照モデルの上位層を規定している。IPをベースに動作することが特徴。電力メーターからのデータの取得や、価格データの送受信、電力のデマンドレスポンス、ロードコントロールといった利用シーンを想定し、強固なセキュリティ機能が用意されている。米国の国立標準技術研究所(NIST)が標準として採用した。複数の半導体ベンダーがSEP2.0に準拠したマイコンを2012年内に製品化することを表明している。


ECHONET Lite

ECHONET CONSORTIUM(エコーネットコンソーシアム)が策定した、エネルギー効率化やヘルスケアを実現するためのホームネットワーク向け規格で、OSI参照モデルの上位層を規定している。2012年4月にECHONET Lite規格として初のプラグフェスト(相互接続のテストイベント)を開催。同月には、ECHONET Lite規格の適合性認証の受付を開始した(ECHONET Lite規格の詳細を紹介したECHONET CONSORTIUMのWebサイト)。経済産業省がスマートハウス/HEMSの標準規格として推奨している。


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