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» 2012年11月05日 09時00分 公開

いまどきエンジニアの育て方(14):「図面を書いて終わり」では成長できない 〜製造部門の視点を持たせる〜 (3/3)

[世古雅人,カレンコンサルティング]
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製造しやすく、検査しやすい製品開発を目指す

 佐々木さんは今回、開発部門だけで製品はできないことと、後工程である製造部との連携が大事であることを学びました。

 そしてもう1つ、後工程に関わる要素として、田中課長が大事だと考えていることがあります。それが、「製造しやすい、検査しやすい、リサイクルしやすい製品の開発」です。

 図2は、開発部門のエンジニアが、自ら設計した装置を分解しているところです。普段はハンダごてを握っていたり、PCや計測器とにらめっこしたりしているエレクトロニクスのエンジニアが、慣れない手つきでドライバを使っています。「ネジが多すぎるなあ」「この部品は調整が必要なのに、取り付けがこの向きじゃ効率が悪い」「配線はこっちを引き回した方がいいな」「リサイクルできない樹脂部品が使われているぞ」など、ワイワイガヤガヤしながら分解するわけです。

図2 製品の分解作業 開発エンジニア自らが行っている。

 一般的には、量産に入ってしまったら、製品がどのように作られているのか、どのように検査されているのかは開発部門から見えにくくなります。特に昨今は、製造工程が海外にある場合も多いので、なおさらです。こうした状況では、「製造しにくい、検査しにくい」製品だと、品質に直結する問題が発生する可能性があります。ですから、上流工程である開発部門にとって、後工程である製造部門がどのように仕事をしているのかを知ることは、とても重要なのです。場合によっては、開発方法そのものを変えることも必要になるかもしれません。図面だけ書いていることが開発の仕事と思っていては、後工程のことも考慮できるような視野の広さを身に付けることはできません。

後工程の先には、常にエンドユーザーがいる

 田中課長は、初めて試作したボードと奮闘する佐々木さんを見ながら、自分が新人だったころ、製造部に「こんな図面じゃ分からねえ!」と怒鳴られたことがあったなあと思い出しました。結局、昔も今も、若手エンジニアが失敗しがちなポイントというのは、変わらないのかもしれません。ただ、組織が細分化し過ぎてしまったことにより、他部門の人から怒られる経験が少なくなってしまったのは確かでしょう。製造部の人に怒られる経験そのものがOJTであり、あえてトレーナーを付けなくても、会社という社会集団の中でもまれることで若手エンジニアが自然と成長していく――。昔は、そんな環境と、時間や心のゆとりがあったんだろうなと、田中課長は感じました。

 そして、製造部の先には、エンドユーザー・お客様がいることも忘れてはなりません。佐々木さんにはぜひ、そのことを常に意識するエンジニアになってほしい。田中課長は、佐々木さんの将来像を描いていました。


 さて、次回は前工程である企画・マーケティング部門と開発部門の関わりについて、見ていくことにしましょう。

Profile

世古雅人(せこ まさひと)

工学部電子通信工学科を卒業後、1987年に電子計測器メーカーに入社、光通信用電子計測器のハードウェア設計開発に従事する。1988年より2年間、通商産業省(現 経済産業省)管轄の研究機関にて光デバイスの基礎研究に携わり、延べ13年を設計と研究開発の現場で過ごす。その後、組織・業務コンサルティング会社や上場企業の経営企画責任者として、開発・技術部門の“現場上がり”の経験や知識を生かしたコンサルティング業務に従事。

2009年5月に株式会社カレンコンサルティングを設立。現場の自主性を重視した「プロセス共有型」のコンサルティングスタイルを提唱している。2010年11月に技術評論社より『上流モデリングによる業務改善手法入門』を出版。



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