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22nmプロセス技術で火花を散らすIBMとIntelプロセス技術

米カリフォルニア州で開催された半導体素子の国際学会「IEDM 2012」では、IBMとIntelが22nmプロセス技術に関する論文を相次いで発表した。22nmプロセスの量産体制に入っているという意味では、優位なのはやはりIntelだろうか。

» 2012年12月14日 11時49分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 IntelとIBMは、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたの半導体素子の国際学会「2012 IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM 2012)」(2012年12月10〜13日)で、22nmプロセス技術に関する論文を相次いで発表し、火花を散らした。また、これとは別に、Intelのファブの幹部役員は、上昇が続くウエハーコストと同社のファウンドリ事業についてコメントした。

 IBMは、「当社は現在、3次元構造に対応した22nmプロセス技術で、サーバ用プロセッサを試作している」と発表した。また、IBMは、22nmプロセスを適用し、寸法が0.026mm2のSRAMセルを作製している。

 一方のIntelは、既に数種類の22nmチップの量産体制に入っているほか、IEDM 2012では、幅広いアプリケーションに対応したSoC(System on Chip)向けのプロセス技術も発表しており、22nmプロセス技術において依然として優位な立場にある。

Intelは、22nmプロセスのFinFETを用いたSoCを開発した。

 Intelでプロセス技術開発を主導するMark Bohr氏は、インタビューの中で、「Intelの22nm FinFETプロセスは、コスト効率に優れている」と述べ、同技術がTSMCの28nmプレーナ型プロセスよりも30〜40%コストが高いという報道を否定した。同氏によれば、FinFETプロセスを適用しても、コストは3%しか上昇しないという。「(FinFETの加工に必要な)80nmの最小加工寸法は193nmリソグラフィ装置で1回処理すれば達成できるので、コスト効率が高くなる」と同氏は主張している。

 IMECの基調講演では、「14nmウエハーは、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術の開発の遅れによって、28nmウエハーに比べてコストが90%高くなる」という予測が発表されたが、Bohr氏は、これについても否定している。同氏によれば、「Intelの14nmウエハーのコストは、IMECの予測ほどは高くはならない」という。

 Bohr氏は、「ウエハー1枚当たりのコストは、ノードの微細化に伴ってわずかに増加するものだ。最近のプロセスノードではコストの増加幅が大きくなっているのは事実だが、それは、トランジスタ密度が上がることで十分にカバーできる。そのため、トランジスタ1個当たりのコストは、14nm世代でも下がり続ける」と説明する。

 同氏はまた、Intelがファウンドリ事業を拡大する計画であることも明らかにした。FPGAの新興企業であるAchronix Semiconductorなど、既に発表されている顧客以外に、より大口の顧客を獲得したい考えだという(参考記事:Intelがファウンダリ事業で新興PLDもう1社と契約と報道、Appleの受託も視野か)。ただし、「汎用向けファウンドリ事業を行うつもりはない。汎用向けファウンドリ事業については、これからも拡大する予定はない」(同氏)としている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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