今回の分解調査の結果、Qualcommが依然として、スマートフォン向け部品において圧倒的な優位性を持っていることが明らかになった。世界的に成功を収めているスマートフォン/タブレット端末において主要なデザインウィンを獲得し続ける、同社の優れた業績が際立つ結果となった。
Samsungも、BlackBerry Z10に複数の部品を供給している。16GBモデルのメインボードには、Samsungの2GバイトのDDR2 SDRAM「K3PE0E000A」と、マルチチップメモリ「KLMAG2GE4A」が搭載されている。KLMAG2GE4Aは、16GバイトのMLC(Multi Level Cell)タイプのNAND型フラッシュメモリと、メモリコントローラを内蔵する。
一方、かつてはBlackBerryシリーズにおける主要なパートナー企業だったTexas Instruments(TI)は、BlackBerry Z10では、わずかなデザインウィンしか獲得していない。Qualcommの勢いに押されてしまったようだ。今回TIが獲得した最も重要なデザインウィンは、無線LANチップ「WL1273L」である。WL1273Lは、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth、FMに対応している。
その他、TriQuintのデュアルバンド無線LANモジュール「TQP6M9017」、RF Micro DevicesのリニアパワーアンプIC「RF7252」、Avago TechnologiesのパワーアンプIC「ACPM-5017」と「ACPM-7051」、SynapticsのタッチスクリーンコントローラIC「ClearPad 3203」などが搭載されている。
BlackBerry Z10は、近距離の無線通信技術であるNFCにも対応している。NFC通信チップには、フランスINSIDE Secureの「SecuRead」が採用されている。これは、PlayBook LTEにも搭載されていた製品だ。
全体的に見て、BlackBerry Z10は、GALAXY S IIIのLTE版に採用された製品を多く使用しているようだ。これは意図的なのか、あるいは偶然なのかは分からない。いずれにしても、GALAXY S IIIの売り上げを見れば、BlackBerry Z10は、そう悪くはない製品だと判断できる。
BlackBerryという新しい社名と、新しい設計思想が、AppleとSamsungが君臨するスマートフォン市場にどのような影響を与えるのか、それはまだ未知数である。だが、少なくともBlackBerryは、ライバルたちとソフトウェア/ハードウェアレベル競争力のあるスマートフォンを作り出せたとみてよいだろう。
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