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» 2013年03月28日 08時00分 公開

「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(16):ホテルは“最後の戦場”である (4/5)

[江端智一,EE Times Japan]

忘れちゃいけない、食事戦と安全衛生戦

 それ以外の戦闘についても、付け加えておきます。

 「食事戦」では、個人差があるので一概には言えませんが、私の場合、近くの店でサンドイッチ、ビール、ミルク、サラダなどを購入して、一人、ホテルの部屋で食事をするのが好きです。時間をかけてのんびり食べられますし、メニューを読んだり注文したりすることにエネルギーを使いたくないからです。

 緊張などで食欲がなくても、何か口に入れるようにしてください。エネルギーを取り入れていないと、現地で簡単に故障(病気)してしまいますから。

写真はイメージです

 「安全衛生戦」では、日本との気候の違いから、体にいろいろな変調が生じてくることを予測して、各種の準備が必要です。私の場合、常備薬専用の布袋を用意して、その中にさまざまな種類の薬を放り込んであります。

 準備する常備薬の目的は「治癒」ではありません。「痛い」「苦しい」といった痛覚、苦痛の「遮断」が目的です。

 具体的には、

  • どんな激痛も全く感じなくなる強烈鎮痛剤(→ただし、直進歩行が不可能[蛇行]になってしまう)
  • 7時間は完全に意識を失わせる睡眠薬(→ただし、もしホテルで火事が起きたら、それは死を意味してしまう)
  • どんな下痢でも完全に停止させる整腸薬(→ただし、ウイルス、細菌の体外放出も妨げてしまう)
  • じんましん、花粉、ありとあらゆるアレルギーの症状を沈黙させる抗アレルギー剤(→ただし、免疫機能も破壊してしまう)

という薬が入っています。

 これらの常備薬の入手経路は明らかにできませんが、まあ、世界中にはいろいろな薬物マーケットがある、ということで、あまり深く突っ込まないでください。

 痛覚、苦痛を「遮断」して、兵士(=自分)を現地に戦力として送り込むことができれば、兵站としての役割は十分です。なにせ、「現地で医薬品を購入」「現地で医者にかかる」というような、想像を絶する面倒に関わりたくないのですから。

写真はイメージです

 なお、兵站拠点であるホテルで“やってはならないこと”も羅列しておきます。

ホテルアメニティである、プール、サウナなどの利用はお勧めしません。面倒なことに巻き込まれることもあるからです。

 作戦(出張業務)が完了するまでは、観光などもやめておいた方がいいでしょう。ミッションが終了するまでは、業務に集中しておいた方がいいということもありますが、海外は危険と面倒であふれ返っているからです(付録1参照)。

絶対に「火器」では撃ち合わない

 最後は「(3)フィードバック戦」になります。

 これについては次回紹介しますので、ここでは簡単に要点のみ述べます。

 重要なのは、ミーティングにおいても、議論をせずに、議論の内容をホテルに持ち帰ることです。私たち「英語に愛されないエンジニア」が、議論――すなわち最前線において火器で撃ち合う――になったら勝ち目はありません。

 その日の戦いはドローに持ち込み、議論の内容を持ち帰ってホテルで検討する、または本国の大本営(職場の上司や同僚)に相談するという、前半の「(1)(b)電子メール戦」のホテルバージョンを実施すればよいのです。


 それでは今回の内容をまとめます。

 海外出張における戦い方として、「未来完了戦略」を提案します。

 「未来完了戦略」とは、本来ミーティングで実施すべき事項を、ミーティング直前までに「完了」させるという、「英語に愛されないエンジニア」に特化した戦略です。

 この戦略による戦闘は、海外出張命令の発動からミーティング前日までの全期間にわたって実施され、「国内戦」「ホテル戦」「フィードバック戦」にフェーズ分けされますが、その目的はただ一つです。

 私たちが不得手とするリアルタイム系の英語の「会話」によるミーティングを回避して、得意とする非リアルタイム系の英語の「読み書き」による戦闘に持ち込むことにあります。


 次回からは、いよいよ本連載の本丸、「プレゼンテーション編」に入ります。

 今回、お話した「未来完了戦略」による戦闘を、有効かつ直接的に、ミーティング当日のプレゼンテーションに連結する方法について論じたいと思います。

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