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非核三原則に学ぶ、英語プレゼンのポイント「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(17)(5/7 ページ)

» 2013年04月23日 11時00分 公開
[江端智一,EE Times Japan]

必ず「地上戦」に持ち込んで、図解する

 さて、前回では、ミーティングとは「未来完了戦略」の完了時であり、実際には議論を行わないと申し上げましたが、それでもミーティングでの質疑応答には対応しなければなりません。あなたは、上記の“内通者”の支援も得ながら、その質問に答える必要があります。これは、今までの連載で既にお話してきたことですが、以下の2つに留意してください。

(1)議論の「空中戦」を行ってはならない

 要するに、会話に対して会話で応答してはならない、ということです。日本語であったとしても、オブジェクト(対象)を誤認したままで、技術の議論が進み、とんでもない誤解をして、場合によっては、取り返しのつかない事態になっていることもあり得るのは、皆さんご存知の通りです。

(2)必ず「地上戦」に引きずり落とす

写真はイメージです

 持ってきた資料のフレーズまたは図面などを使って、ペンで書き込む、または自分の指で指さして、議論の対象を明確にします。そして、ホワイトボードや自分のノートを使って、”□(四角)”や”→”、簡単なイラスト(制御装置なら箱の絵、ネットワークなら雲の絵など)を書いて、「自分の理解」を示します。英語など使う必要はありませんし、むしろ、使わない方がいいかもしれません。

 この方法の優れている点は、このような図が描かれた以上、相手も、その図に訂正を入れてくるはずだからです。なぜなら、間違っている内容を看過することができるエンジニアはいませんし、なにより、その絵が、後で「双方共通の認識に達したことの証拠」にもなるからです。

 言語での相互理解には限界があり、そのような限界のある手段を用いたエンジニアリングが不完全となるのは当然のことです。

 これに対して、図面を共通理解の基盤としようという方法が提案され、採用され、色々な分野で効果を上げています(例えば、UML(Unified Modeling Language)など)。私たち「英語に愛されないエンジニア」が、このような便利なコミュニケーション手段を用いないことは、大変もったいない話だと思います。


 さて、今回の内容をまとめます。

  1. プレゼンテーションはドラマであり、プレゼンテータのあなたは、その「愛の告白」を演じるたった一人の俳優または女優である
  2. 英語での議論の鉄則は、非核三原則と同様、英語での議論が必要となるような話題を「持たない」「作らない」「持ち込ませない」
  3. しかし、上記の三原則が実施されない場合に備えて、相手側に自分のシンパとなってくれる内通者(エージェント)を作っておく
  4. どうしても議論しなければならない時は、英語に対して英語で応酬する「空中戦」を回避して、オブジェクトを図面で明確にする「地上戦」に持ち込む

 次回は、今回のプレゼンテーションの技術や策略のような「表向き」の話から、プレゼンテーションという活動の裏に潜む会社や個人の思惑や陰謀といった「裏向き」のドロドロのお話をしたいと思っております。

 お楽しみに。

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