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“上司活用”のススメいまどきエンジニアの育て方(最終回)(1/2 ページ)

今回は、若手の視点でお話しようと思います。ずばり、“上司の活用法”。上司を“使う”だなんて畏れ多い――。そう思うかもしれませんが、社会人の先輩であり、人生の先輩でもある上司やベテランエンジニアの知識や経験を上手に使わせてもらうことは、若手エンジニアにとっては重要なことなのです。

» 2013年05月27日 07時00分 公開
[世古雅人,カレンコンサルティング]

「いまどきエンジニアの育て方」連載一覧

 5月の連休が終わり、一段落したこの時期には“5月病”に関する記事をどこかしらで見かけます。最近の報告では、5月病は若手だけではなく、年齢、世代を問わず誰でもかかるとのことですが、陽気が良くなってきたこの時期は、パソコンに向かってばかりではなく、お昼休みに少し外に出てみるのもよいかもしれませんね。

 さて、およそ1年続いた本連載も最終回を迎えました。今回は、“上司の活用法”と、これまでの簡単なおさらいをお伝えします。

“上司活用”のススメ

写真はイメージです

 本連載は元々、若手エンジニアを抱える上司やベテランエンジニアを対象に書いたものですが、若手エンジニアの方も読んでいると思うので、最後にひと言。

 ぜひ、上司を都合よく“活用”しましょう!

 上司というのは、時に「うっとうしい存在」かもしれません。ですが、社会人として先輩であり、また人生の先輩でもある上司でなければ持ち得ないものも多くあるのです。これらをうまく活用しましょう。「上司の使い道」と書くと、上司の方には失礼ですが、言いたいことはこれに近いものです。

 例えば、次のような内容です。

・トラブル解決役
・謝り役
・人脈の活用
・信頼関係の構築

 「トラブル解決役」「謝り役」を上司が担うのは、自分の部下に対するマネジメント責任ともいえます。仕事上のトラブルというのは、「部下が勝手にやらかしました」で済むものではないので、上司はその責任を取らなければなりません。

 「人脈の活用」はいろいろな場面で使えます。営業の方であれば人脈は必須ですが、開発の仕事では“部門間の調整”など、社内的なものがほとんどでしょう。

 「信頼関係の構築」という面でも、上司を活用できます。若手エンジニアが勝手に決めたわけではないということを証明するために、「上司も共通認識で、本仕様書の内容について承認をもらっています」とひと言添えるだけで、製造部門との打ち合わせがスムーズに進むこともあるのです。

 ただし、あまりに上司を使いすぎると、周囲からは「調子のいいヤツ」と思われるので、気を付けましょう。

欧米で注目を集める“ボス・マネジメント”

 なお、日本ではまだまだ一般的ではありませんが、海外、特に欧米では、マネジメント手法の用語として、“ボス・マネジメント”という言葉が注目を集めるようになりました。ボス・マネジメントとは、ひと言で言えば「上司に仕事をさせる」ということですが、これは自分の仕事を上司に押し付けるということではなく、部下が自分の仕事の目的を達成するために上司を戦略的に動かす技術のことです。したがって、上述した“上司活用”よりも多少、スキルが必要となります。上司にもいろいろなタイプがいるので、どうやって活用するかはここでは書き切れませんが、Webで調べるとかなりヒットするので、皆さんなりに調べてみてください。筆者は「上司との向き合い方を変えていく」ことだと考えています。

機能しないOJT

 開発現場はどこも忙しく、新人や若手には構っていられない。教えるトレーナーも教え方が分からない。かと言って、人事部門にはもはや開発業務や技術が分かる人がいない。

 一方で、ゆとり世代ならではの特性により、コミュニケーションや世代間のギャップがなかなか埋まらない。

 どっちもどっちですが、これらを総称して、「OJT(On the Job Training)が機能しなくなった」と言われて久しくなりました。

職場全体で若手を育てる

 トレーナーの教え方や面倒見などは人それぞれ異なります。若手がトレーナーを選べれば良いのですが、普通はそういうわけにはいきません。教え方が分からないというトレーナーもいる中で、「指示を出すこと=OJT」と勘違いする先輩社員もいます。開発業務をこなす必要もあるので、なかなか若手の育成だけに時間を割いていられないというのが現場の本音でしょう。

 したがって、若手の育成をOJTトレーナーの先輩社員1人に押し付けるのではなく、職場全体で若手を育てることが重要です。「若手を育てる社風、若手が育つ環境」――。これらを作ることが上司、特に管理職の大事な役割です。

 皆さんも経験があるかと思いますが、人に教えることで自分自身の理解も深まります。ですから、若手の育成を通じて周囲の人も育つことになるのです。ぜひ、職場全体で若手を育てる社風づくりにトライしてください。

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