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» 2013年06月07日 07時30分 公開

ビジネスニュース 企業動向:記録密度上昇率が鈍るHDD、これからは電力コストを下げる「シールド/ヘリウムHDD」 (2/2)

[馬本隆綱,EE Times Japan]
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ビッグデータのストレージに求められる3つの「V」

 ストレージに要求される容量と性能は、その用途によって異なる。HGSTの説明によれば、一般的なデータベースに必要な容量はギガバイト(GigaByte)だが、遅延時間は1ms以下の性能が求められる。クラウドストレージ用途ではテラバイト(TeraByte)からペタバイト(PetaByte)の容量となるが、遅延時間は1ms〜10msでよい。ビッグデータストレージ用途になると、エクサバイト(ExaByte)の領域に近づくが、遅延時間は10msでも許容範囲となる。そして、ビッグデータストレージには多様性(Variety)、ボリューム(Volume)、速度(Velocity)と3つの「V」が求められるという。それは「解析に向けた高速SSD装置」、「データ量とアクセス時間の最適化を図った大容量HDD装置」、そして「ハードウェア/ソフトウェアの最適化」、「デバイスアーキテクチャの変化」などへの対応である。例えば、SLC/MLCのNAND SSD装置、10k/15K SAS(Serial Attached SCSI) HDD装置、7200RPMのSAS/SATA HDD装置などがある。HGSTではこれらに対応した製品を2013年に投入する計画である。

企業向けでSSD装置とHDD装置は共存

 SSD装置市場は2012〜2016年の年平均成長率が32%増の見通しである。特に企業向けSAS SSD装置市場は、2013年に数量ベースで78%増と高い成長が見込まれている。また、企業向けはSSD装置とHDD装置の価格差が今後も大きく変わらないとの見通しから、SSD装置とHDD装置は補完しながら共存していくものとみられる。データセンタ用途の場合、NANDフラッシュはデータの書き込み回数など耐久性が懸念されている。このような課題を見込んだシステム設計が必要となる。また、SSD装置は従来のようにストレージコントローラを経由してCPUやDRAMに接続すると、インタフェース部でボトルネックが生じ、十分な性能が得られないことがある。そこで今後は、PCIeバスに直接接続できるPCIe SSD装置や、SAS SSD装置などへの期待が高まる。

左はSSD装置全体の市場、右は企業向けSSD装置市場の推移 (クリックで拡大) 出典:HGST

新提案のシールド/ヘリウムHDD装置

 前述のとおり、記録容量の需要が増大する中、ハードディスクメディアは記録密度の伸びが鈍化している。こうした中でHGSTが新たに提案しているのが「シールド/ヘリウムHDD装置」である。密度が空気の1/7というヘリウムガスを用いることで、機構部の消費電力を最大23%も削減できるという。プラット数は7枚(従来の空気タイプは5枚)まで搭載でき、その増量分だけ容量を拡大できる。同社は、「従来のHDD装置に比べてシールドHDD装置は、『40%以上の容量拡大』、『消費電力の低減』、『発熱が低い』、『耐久性が向上』、『低騒音』といった特長がある」と主張する。また、「大規模なデータセンタにおいて、シールド7D HDD装置を導入すると、従来の5D HDD装置に比べて22〜33%のTCO削減が可能」(Collins氏)という。

 データの書き込みが中心となる「コールドストレージ」市場は、テープの代替としてこれから注目を集めそうだ。企業向け市場では、全体の10%がホットデータであり、残りの90%はコールドデータといわれている。同社はこのコールドストレージ分野などにシールド/ヘリウムHDD装置を提案していく考えである。

多様化が進むモバイル向けストレージ装置

 ノートPC向けHDD装置は需要が鈍化する見通しだ。一方で携帯情報端末向けなど個人用ストレージ装置は、需要の増加と大容量化が進む。しかも薄型に対する要求が強く、HDD装置の厚みは9.5mmから7mmへ、さらに5mmへと進化している。また、SSD装置をはじめ、ハードディスクと不揮発性メモリとのデュアルドライブ装置や、ハイブリッドドライブ装置など、ストレージ装置の多様化が進むものと予想されている。

携帯情報端末向けHDD装置の市場予測推移 (クリックで拡大) 出典:HGST
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