メディア
連載
» 2013年06月14日 00時00分 公開

「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(19):海外での打ち合わせを乗り切る、「英語に愛されないエンジニア」のための最終奥義 (2/4)

[江端智一,EE Times Japan]

 ――思えば遠くにきたものです。

 皆さんと一緒に、日本で出張を命じられて、資料を作り、飛行機や現地、ホテルでは嫌になるくらいのトラブルに遭遇しながら、ついに相手の会社の会議室に到着し、プレゼンテーションも終了しました。

 これまで私は、「戦闘的海外出張準備」「英語を使わない資料作成戦略」「コピペを活用する戦略」「未来完了戦略」……、本当にいろいろな戦略を提唱してきました。これらの戦略の基本方針が、全て「逃げる」であることは、既に皆さん気が付かれていると思います。

 そして今回、私たちはついに、「逃げる」ことができない最後のところまでたどり着いたのです。

 それでは、本連載の最大の山場であるこの「質疑応答・打ち合わせ編」において、われわれ英語に愛されないエンジニアが、「最初から最後まで、何を言っているのか全く分からない英語の打ち合わせ」に立ち向かうための、――本連載、最初にして最後の――最終奥義の伝授を開始します。

【最終奥義その1:動詞1個と目的語1個を拾う】

 まず、主語は捨てていいです。時制は言うまでもなく、肯定文か否定文かの判断もいりません。1人が話している1つのフレーズから、動詞1個と目的語1個が拾えれば十分です。これをノートに書き取ります。可能でしたら、相手がジョークをかましている一瞬の隙に電子辞書を引いて、その2つの単語の意味も書き足しておきます。

【最終奥義その2:質問は2回繰り返させる】

 1回目の質問には、「分からない」という表情をし、繰り返しとなる2回目の質問には、「分かった」という風にうなずきましょう。

 これには2つの目的があります。第一は、会話のスローダウンを図るためです。このような「分からない」というジェスチャは、会話のスループットを低下させるという効果があります。ネットワーク通信における再送処理と同じ理屈です。

 第二に、あなたは、相手に質問を繰り返してもらうことができます。私は常々、「TOEICのリスニングセクションで、"Pardon?"とか"Sorry?"とか、"Excuse me?"を使えるようにしてくれれば、フルスコアを取ってみせる」と豪語していますが、これと同じです。質問を2回繰り返してもらえば、1回目では拾えなかった単語が、拾える可能性も出てくるのです。

 ただし、質問を3回繰り返してもらった場合、その3回目に対して「分からない」と言うことは禁止します。あなたは(そして私も)、どうせ100回繰り返して聞いても分からないのですから、これ以上の議事進行妨害は効果がありません。いつまでも打ち合わせが終わらないのでは、相手も困りますが、私たちも困ってしまいます。

【最終奥義その3:答えをにごす】

 相手からのYes/Noクエスチョンに対しては、「……Muu……um, Yes……」とためらいがちに、ゆっくりと答えましょう。

 繰り返しますが、あなたは、相手の会話の内容を全然分かっていません。ですから、相手からのYes/Noクエスチョン(YesかNoで答える質問)に対してYesともNoとも答えられないのですが、上記のように言えば「YesともNoとも取り得る回答」になるのです。

 この回答は、「Yes/Noをはっきり言わない日本人」として、インターナショナルに批判されているものですが、それは知ったことではありません。構いませんので、乱用してください。こっちだって必死なのです。相手側も、ビジネスパートナーとなるかもしれないこちら側に対して「どっちなんだ! はっきりしろ!!」とは言えないはずです。

【最終奥義その4:Yes/Noクエスチョン以外は逃げる】

 相手からのYes/No以外のクエスチョンに対しては、「O.K. Go ahead, please(そのまま続けて)」または「May I do them after your explanation?(後でまとめて答えたい)」などと言って、逃げましょう。

 何度も繰り返しますが、あなたは会話の内容を全然分かっていないのですから、答えようがありません。ここは、相手のターン(順番)をさっさと終わらせる方に導きましょう。これ以外には、「I have to think of my company intentions, instead of my opinion……(私としての意見はともかく、会社としては……[無言])」という、なんだかよく分からない対応もGoodです。

 なんでも「日本人は、自己の意見を主張せずに、組織に隷属する国民」なのだそうです。それならそれで結構じゃないですか。ご期待通り、そのように振る舞ってみせましょう。

【最終奥義その5:ストーリーをでっち上げる】

 相手の説明が完了したら、上記でピックアップした単語と、稼いだ時間を使って作ったでたらめな内容の結論を、相手に提示しましょう。

 これは以前私が紹介した、「『仮説検証方式』で調査時間を1/10に短縮しよう」と趣旨は同じです。

 とりあえず、相手の言っている内容を単語から「推測」し、適当なストーリーを自分の頭の中ででっち上げるのです。ストーリーの内容などはどうでもよく、結論がひっくり返っていても構いません。ここで大切なのはトピック(話題)です。トピックだけなら、単語からでも十分に拾えるはずです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.