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ルネサス モバイル事業を清算、買い手見つからずビジネスニュース 企業動向

ルネサス エレクトロニクスは2013年6月27日、子会社ルネサス モバイルが展開する第4世代携帯電話通信用モデム(LTEモデム)事業から撤退すると発表した。2010年に、Nokiaから約180億円で買収した同事業は、結局、買い手は見つからず清算することになった。

» 2013年06月27日 18時30分 公開
[EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクスは2013年6月27日、子会社ルネサス モバイルが展開する第4世代携帯電話通信用モデム(LTEモデム)事業から撤退すると発表した。同日付でルネサスモバイルとその子会社が展開するLTEモデム技術に関する新規開発、拡販を停止した。

海外子会社従業員1430人は解雇へ

 LTEモデム事業撤退に伴いルネサス モバイルの海外子会社で携帯電話機用SoCの研究開発を行ってきたルネサス モバイル ヨーロッパ社、同インド社、同北京社の3社の事業を2013年12月末に停止し、その後、清算する。事業を停止する海外3拠点の合計従業員数は、約1430人で、解雇される見込み。ルネサス モバイル ヨーロッパ社の売上高178億3700万円だったという。

 ルネサス モバイルは、第4世代以前の旧世代モデム関連製品と顧客に納品中の製品の供給を継続する。同時に自動車向け情報システム事業、産業機器向け事業については、「今後、さらに中核事業としてその運営に注力していく予定」としている。ただ、ルネサス モバイルのルネサス本体への統合や約350人というルネサス モバイル従業員の配置転換などについても「現在、検討している段階」(ルネサス)としている。

Nokiaから約180億円で買収したものの

 ルネサスは2010年11月に、Nokiaのモデム技術開発部門を約2億ドル(当時の為替レートで約180億円)で買収し、ルネサス モバイルを発足させて、携帯電話機などに向けたワイヤレスモデム事業に本格参入した。買収前から展開していた携帯電話機向けアプリケーションプロセッサやRF ICなどと合わせたターンキー型ソリューション提案により、当時一桁台だった携帯電話機向け半導体シェアを20〜30%へと引き上げる計画だった(関連記事:ルネサス モバイル 代表取締役社長:世界市場でシェアを10倍に)。

スマホ普及、見通せず

 しかし、AppleのiPhoneなどに代表されるスマートフォンが急速に普及する中で、主力顧客と目されたNokiaの携帯電話機事業が低迷。さらにルネサス モバイル自体のスマートフォン向け製品展開も遅れ、2011年1月の会社発足以来、業績低迷が継続。累積営業赤字は450億円(2013年3月時点)までに膨れあがった。

 経営再建中にあるルネサスは2013年3月に、赤字が続く不採算事業として、モバイル機器向けSoC事業の方向性を見直すと公表(関連記事:「Qualcommと肩を並べる」はずだったルネサス モバイル、事業売却へ)。事業売却を軸に、半導体メーカーやモバイル端末メーカーなどとの交渉を進めたとみられるが、結局、買い手は見つからず、事業清算の道を選んだ。

 なお、ルネサスは事業撤退に伴う業績への影響は現在精査中としている。

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