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社会人/大学生に交じって遠隔制御ロボットで受賞! “C言語が苦手な中学生”に聞く日本NI グラフィカルシステム開発コンテスト2013

日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、NI製品を使ったアプリケーションを表彰する「グラフィカルシステム開発コンテスト2013」を実施し、「未来のエンジニア賞」として、中学3年生の野口宙さんを表彰した。中学3年生ながら、NI製品を使いこなし、誰でも操作可能な遠隔制御ロボットを製作した野口さんにインタビューした。

» 2013年11月15日 07時30分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]

 日本ナショナルインスツルメンツ(以下、日本NI)は毎年、自社製品を使ったアプリケーションを表彰する「グラフィカルシステム開発コンテスト」を実施している。例年、企業や大学から、数多くの製品や研究開発成果がコンテストに参加し、ハイレベルなアイデア/技術を競う場となっている。

 ことしも2013年11月1日に開催されたNI製品のユーザーイベント「NIDays 2013」会場で、盛大にコンテストの表彰式が行われた。ただ、今回の表彰式は例年と違う点があった。企業のエンジニアや大学の研究者が居並ぶ中で、中学生の姿があったのだ。

日本NI主催「グラフィカルシステム開発コンテスト2013」の表彰式のようす。左から2番目が中学3年生の野口宙さん

なぜ、中学生がNI製品を?

 同コンテストに参加するために必ず使わなければならないNI製品は、グラフィカルシステム開発プラットフォーム「NI LabVIEW」などエレクトロニクス業界のエンジニアや理工系の学生にはおなじみだが、お世辞にも一般的に広く認知されているとは言い難い。ましてや、中学生が……。しかも、いくら使いやすい製品といえ、中学生がNI製品を使いこなせるのだろうか? いくつもの疑問が、浮かぶ中、グラフィカルシステム開発コンテスト2013で、「学生部門 未来のエンジニア賞」を受賞した宮城県富谷町立成田中学校3年の野口宙さんを直撃した。


EE Times Japan(以下、EETJ) 受賞おめでとうございます。

野口さん ありがとうございます。

EETJ 失礼ですが、受賞作品の「NI LabVIEWを使ったロボットのコントロール」は、野口さんが作ったのですか?

野口さん はい。

EETJ 中学生がNI LabVIEW(以下、LabVIEW)で出会う場面はないように思えますが、使い始めたきっかけは?

野口さん 3年ぐらい前に、通っている“ものづくり講座”(NPO法人 natural science主催)で「知能ロボットコンテスト」に参加する時に、講座の先生からLabVIEWを紹介されました。


EETJ そのコンテストは、どういうものだったんですか?

野口さん 壁伝いにロボットカーを走らせ、センサーでボールを探すコンテストでした。

間に合わない!

EETJ では、マイコンをプログラミングする必要があったのですね。

野口さん はい。コンテストまで、あと2カ月という時に、ハードは出来上がっていたのですが、ソフトの方はまだ手つかずで、コンテストまでに間に合わないということになり、その時に、LabVIEWを紹介されました。

EETJ それまでも、プログラミングの経験があったのですか?

野口さん はい、プログラムしたことはありましたが、でも、C言語が苦手で……。ハードを作るのは好きなのですが……。

EETJ その時のLabVIEWの印象は?

野口さん これならできそうだと思いました。

EETJ LabVIEWのおかげで、2カ月でプログラミングは作ることができた。

野口さん いいえ、結局、(ロボットカーは)動きませんでした。でも、次の年のコンテストでは、LabVIEWも少し使いこなせるようになり、走らせることはできました。

EETJ 今回のコンテストの応募作品を作ったきっかけは?

野口さん LabVIEWを紹介して下さった先生がいらっしゃる東北大学で、「サイエンス・デイ」(学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2013、主催:natural science)というイベントがあって、作品を出品することになったので、今回応募したロボットを作りました。

2〜3歳の子どもが遊べるロボット

EETJ ロボットはどういうものですか。

グラフィカルシステム開発コンテスト2013で「未来のエンジニア賞」を受賞した野口さんの作品。ロボットに搭載したカメラの画像をPCモニター上に表示し、その画像を見ながらリアルタイムにロボットの移動、アームの動作を遠隔制御できる。LabVIEWとNIのデータ集録デバイスを使用し、PCとロボットに搭載されたマイコンを接続。PCからの信号に応じてマイコン経由でモータを駆動し、ロボットの動作をコントロールできる

野口さん サイエンス・デイには、2〜3歳の小さい子どもも参加するので、小さい子どもでも遊べるおもちゃとして、ボールを運ぶロボット作りました。LabVIEWで、PCにロボットを操作するボタンなどを作り、ロボットに付けたWebカメラの映像を見ながら操作します。製作期間は、半年ぐらいでした。

EETJ 子どもの反応は、どうでしたか。

野口さん 思った通り、小さな子が楽しそうに遊んでくれたので、良かったです。

EETJ ロボットの出来栄えが良かったので、先生がグラフィカルシステム開発コンテストへの応募を勧められたのですね。

野口さん そうですね。でも、サイエンス・デイの時は、出品物の表彰のようなものがあるのですが、2位相当の評価でした。1位は、私がものづくり講座に誘った友人で、C言語プログラミングが上手で……。

EETJ でも、今回、グラフィカルシステム開発コンテストで受賞できましたね。

野口さん 受賞を母から聞かされた時は、信じられなくて、驚きました。小学生のころは、(コンテストなどで)よく表彰されていたのですが、久しぶりの受賞でうれしかったです。

EETJ これからは、苦手なプログラミングをLabVIEWで克服したので、もっといろいろなものが作れますね。賞品の「NI myRIO」(関連記事)もありますしね。

野口さん いえ、しばらくは受験勉強に専念します……。でも、高校に入ったら、また電子工作を続けたいと思います。

EETJ 将来の夢は?

野口さん エンジニアになりたいと思っています。母の実家が、農業を営んでいるのですが、重労働なので、仕事を助けられるような農業ロボットを作りたいと思っています。

覚えなくて済むのであれば……

EETJ そのためには、プログラムもしなければいけませんね。今後、C言語にもチャレンジしますか。

野口さん もし、必要に迫られたら、C言語を勉強するかもしれませんが、覚えなくて済むのであれば、LabVIEWでプログラムしていきます。LabVIEWであれば、意思通り、やりたいことができるので。

EETJ 最後に、電子工作の魅力を教えてください。

野口さん 電子工作は、“ないもの”が自分で作れるので、楽しいですね。


野口さんのような『未来のエンジニア』を1人でも増やしていきたい(日本NI)

 今回、グラフィカルシステム開発コンテストを主催する日本NIでは、野口さんの受賞に関して、「今回の野口さんからの応募を非常に喜ばしく思っている。中学校の技術家庭科で『プログラムによる計測・制御』が必修化されたことを受け、小中学生でも操作できるプログラミング言語としてLabVIEWを広めていきたい。子どもたちがエンジニアリングに興味を持つきっかけとなるような、ロボット制御系のイベントも視野に入れ、活動を続けることで、野口さんのような『未来のエンジニア』を1人でも増やしていきたいと考えている」とコメントしている。

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