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DDCトランジスタとフラッシュメモリの混載技術、富士通セミコンが開発IEDM 2013

富士通セミコンダクターは、DDC(Deeply Depleted Channel)技術を適用したロジック回路とフラッシュメモリセルを同一チップに混載し、同社三重工場の55nmプロセスで製造できる技術を開発したと発表した。これまで高温でのプロセス処理が必要とされてきたフラッシュメモリセルを、低温プロセスのみで形成することに成功したことで、ロジック回路との混載を可能とした。

» 2013年12月11日 11時20分 公開
[EE Times Japan]

 富士通セミコンダクターは2013年12月、DDC(Deeply Depleted Channel)技術を適用したロジック回路とフラッシュメモリセルを同一チップに混載し、同社三重工場の55nmプロセスで製造できる技術を開発したと発表した。これまで高温でのプロセス処理が必要とされてきたフラッシュメモリセルを、低温プロセスのみで形成することに成功したことで、ロジック回路との混載を可能とした。開発成果はIEDM(International Electronic Device Meeting)2013(2013年12月9〜11日、米国ワシントンDC)において発表した。

 DDC技術は、SuVoltaよりライセンスを受けて共同開発した低消費電力化技術である。この技術を使ったDDCトランジスタは、ゲート電極の直下に、不純物を極低濃度に保った「Depleted Layer」と呼ばれる層を形成する必要がある。この層を保持するために、ウエハーを加工するこれ以外の工程においても、高温で処理するプロセスを用いることができなかった。

 一方、FLOTOX(Floating Gate Tunnel Oxide)構造のフラッシュメモリセルでは、浮遊ゲートに注入された電子が漏れる「シングルビットチャージロス(SBCL)」を防止するため、トンネル酸化膜の形成工程などで最大1000℃の高温処理が必須となっていた。このため、DDCトランジスタとFLOTOX構造のフラッシュメモリセルを同一チップに混載して、実用的な特性を達成するのは製造上、困難とみられていた。

DDCトランジスタ構造(左)と、FLOTOX構造(右)の概要

 今回の開発で同社は、低温プロセスのみでFLOTOX構造のフラッシュメモリセルを形成する方法を見出した。試作した評価用チップでは、DDCトランジスタに要求される特性を維持しつつ、フラッシュメモリセルでもSBCLによる不良が発生しないことを確認した。

 その上、SBCLの発生メカニズムとして新たな知見が得られたという。これまでは、トンネル酸化膜への電流ストレスによってSBCLが生じるとみられてきた。ところが今回の研究で、SBCLはドレイン近傍で発生するホットホールによって支配されていることが明らかになった。

 同社は、「一例だが、あらゆる機器がインターネットにつながる『IoT(Internet of Things)』に対応するセンサーネットワーク向けLSIなどに、不揮発性メモリの搭載が求められている」として、今回開発した技術をこれらの用途向けLSIに応用していく考えだ。なお、実用化時期については未定である。

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