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“Japanese English”という発想(後編)「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論 ―番外編―(3/4 ページ)

» 2013年12月16日 11時00分 公開
[江端智一,EE Times Japan]

 私は今回、文部科学省の「小学校学習指導要領」の第4章 外国語活動を読んでみたのですが、この内容が抽象的すぎて、全然分かりませんでした。これでは小学校の教師がかわいそうすぎるなぁ、と思いました*2)

*2)実際の現場の声(次女:小学5年生)もインタビューしましたが、いずれ別の機会に。

 そして、「中学校学習指導要領」第9節 外国語の、特に「第2 各言語の目標及び内容等 2.内容」については、――私はツンデレキャラではありませんが――『大丈夫なの? バカなの? 死ぬの?』と言いたくなりました。ぜひ、ご一読ください。上記の私の主張(「英語の規制(ルール)緩和」)と、見事なほどの対称を成しています。

画像はイメージです

 私が勤務している研究所は、日本で最も英語を必要とする職場の一つであると思いますが、上記の「中学校学習指導要領」に記載されている内容を実践できている研究員を、私は一人も知りません。

 私なら、「学習指導要領」を以下のように記載します。

(1)英語を『使う』ことを最重要のターゲットとする

(2)半分くらい理解できて、半分くらいしゃべれて、半分くらい書ければ十分であり、完璧を目指してはならない

(3)文法や単語は本質ではなく、副次的な手段であり、必ずしも正確である必要はない

(4)理解できない部分については、ジェスチャー、板書、絵画、その他の手段を使うことを、併せて指導する

と、なぜ記載できないのでしょうか。……できないか。立場上。


 私は根拠なく、このような主張をしている訳ではないのです。

 まず、上記の江端私案の「日本英語」指導要領は、全て江端の海外出張や赴任での経験をベースにしております。その内容に、うそ偽りは一つもありません。

 国内においても、私は、自分が作成したオープンソースのプログラムに関して、E-mailで世界中の人から多くのアドバイスをもらっています。

 一度、中国人のエンジニアと情報交換をした時、送付していただいたプログラムのコメントやドキュメントが読めず困ったことがありました。中国語で書かれていたからです(漢字でしたけどね)。私は、「全部を英語に直してくれ」とはどうしても言い出せず、結局彼の善意を無にしてしまいました。今でも思うのですが、たとえそのコメントが、正確でなくとも英語で(あるいは英単語だけでも)書かれていたら、私はきっと読解できたと思うのです。

 私がここから得た教訓は、「国際的な意思疎通においては、美しく正しい中国語や日本語よりも、デタラメでいいかげんでテキトーな英語の方がずっとマシ」と言う事実です。当たり前のことですが、言語というものは、その言語を理解できない限り、意味のない線図の羅列、または意味不明のノイズ音にすぎないのです。

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