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振動を利用して“手を引かれる感覚”を再現、歩行ナビに応用NTT R&D フォーラム 2014(1/2 ページ)

NTTは、「NTT R&D フォーラム 2014」において、NTTグループやパートナー企業との研究成果を発表した。振動を利用する歩行ナビゲーション機能や、8Kの映像をブラジルから日本に転送する技術、着るだけで心拍などを計測できるウェアなどを紹介した。

» 2014年02月13日 16時36分 公開
[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 NTTは、NTTグループやパートナー企業との研究成果を発表する「NTT R&D フォーラム 2014」を、東京都のNTT武蔵野研究開発センタで開催中だ(2014年2月13〜14日)。分野の枠を超えて共同開発に取り組み、技術革新を起こすという意味の「Co-Innovation」をコンセプトに、展示やワークショップを行っている。

振動を利用する歩行ナビ

 NTTは「ぶるなび」と呼ぶ歩行ナビゲーションの開発に、2004年から取り組んでいる。ぶるなびとは、重りを振動させて、“手を引かれる/押される感覚”を作り出す技術だ。「重りを右に動かす時は速く、左に動かす時はゆっくり」といったように、重りを動かすスピードを変えることで、手を引っ張られたり、押し返されたりしているような感覚を生む振動を起こしている。現時点では前後左右に引っ張る感覚を実現しているが、技術的には上下に引っ張る感覚を再現することも可能だという。

「ぶるなび」の基本となる重りの動き。右には速く動き、左にはゆっくりと動いている。この動きの差によって起こる振動が、「手を引っ張られる感覚」を生み出している

 会場では、ぶるなびとカメラを取り付けたタブレット端末を用いて、指定された経路をたどるデモを行った。天井にはりつけたARマーカーをカメラで撮影し、位置を検出しながら、ぶるなびで誘導する。タブレット端末にはナビゲーション用のソフトウェアが搭載されていて、ぶるなびはそれに従って誘導の方向を決める。美術館や博物館での誘導の他、視覚障害者への避難経路の指示といった用途を想定している。

ぶるなびの最新版「ぶるなび3」(左)。指で持てるくらいに小型化されている。中央と右の画像は、デモに用いたタブレット端末。ぶるなびとカメラが取り付けられている(クリックで拡大)
ぶるなびのデモの様子。“引っ張られる”方向に進んでいる

8K映像をブラジルから日本に伝送

 国際IP網を用いて、ブラジルから日本に8Kの映像を転送する技術が披露された。ブラジルのサーバに保存した映像を、研究教育用のIP網を経由して、約1万8000km離れた日本に360Mbpsでストリーミングするというものだ。

 ただ、この研究教育用のIP網はネットワークの性能が保証されていないことや、伝送距離が長いことなどから、伝送の途中でパケットが消失することがある。そこで、強力な誤り訂正技術「LDGM-FEC(Low Density Generate Material-Forward Error Correction)」を採用し、消失したパケットを回復して伝送したという。

 伝送における信頼性と冗長性をさらに高めるために、伝送経路も2本用意した。OpenFlowに対応した高速なソフトウェアスイッチで、それらの経路を制御している。

ブラジルから日本に伝送された8Kの映像(左)。映像はH.264で圧縮されている。中央の画像は、「LDGM-FEC」や高速ソフトウェアスイッチを搭載した機器である。右は、今回用意した2本の伝送経路(クリックで拡大)
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