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東芝、SSD並みの性能を実現する組み込みNANDメモリ用コントローラ開発メモリ/ストレージ技術

東芝は、組み込み式ストレージメモリ標準規格である「JEDEC Universal Flash UFS Version 2.0」などに準拠し、「世界最高速」(同社)というUFSメモリコントローラを開発した。従来コントローラに比べ、ランダムリード性能で約10倍の性能を達成したという。

» 2014年03月03日 13時00分 公開
[EE Times Japan]

 東芝は2014年2月、組み込み式ストレージメモリ標準規格である「JEDEC Universal Flash Storage(UFS) Version 2.0」と「JEDEC UFS Unified Memory Extension(UME) Version 1.0」*1)に準拠する「世界最高速」(同社)のUFSメモリコントローラを開発したと発表した。組み込み式のNAND型フラッシュメモリの従来標準規格「embedded MultiMediaCard」(e・MMC)と比べて、ランダムリード性能で約10倍の性能を達成したことを確認したという。

*1)JEDECが規定するUFSデバイス側からUFSホスト側のRAMなどにアクセスするための手順などを定めた標準規格であり、UFS Version 2.0のオプション機能となっている。

e・MMC比、約10倍の性能を達成

 フラッシュメモリの高速化が求められる中で、従来のコントローラ内蔵組み込み式NANDメモリでは、処理に必要なデータをコントローラ内部に収めることが難しく、ホストからのデータ読み出し要求処理時には、NAND型フラッシュメモリから処理に必要なデータを複数回で読み出していた。そのため、ユーザーの体感性能を左右するランダムリード性能を大幅に向上させることは困難になっていた。

 そこで東芝は、UFS Version 2.0とともに規格化されたUFS UME Version 1.0に準拠したUFSメモリコントローラを開発した。このコントローラでは、処理に必要なデータの一部をホストDRAMに配置することでホストからのデータ読み出し要求処理時にNANDメモリから読み出す回数を削減する。それにより、ホストからの読み出し要求処理の所要時間を従来の組み込み式NANDメモリと比較して半分に削減することに成功した。これらのデータの一部をホストDRAMに配置し、また必要に応じてホストDRAMから読み出す手続きは、UFS UME Version 1.0規格に準拠して行う。

ハードを新規設計

 さらに、ホストから受領したデータ読み出し要求を高速で処理するハードウェアエンジンを新規に設計、実装したことで、従来の処理方式と比較して最大で2倍以上の高速化を実現したとする。

 「これら2つの技術により、4kバイトのランダム読み出し性能(NANDメモリ8チップ、アクセス範囲8Gバイト、ホストレイテンシ1μs時)として60kIOPS*2)以上を達成した。この性能は、e・MMC Version 5.0規格準拠製品の性能と比較して、およそ10倍程度になった。これにより、SSDに匹敵する性能を指先サイズのパッケージで実現することができるようになる」(東芝)という。

*2)IOPS:Input/Output Per Second。1秒間に読み書きできる回数。

製品のサンプル出荷時期は14年前半

 東芝では、開発したメモリコントローラを搭載した組み込み式NANDメモリ製品を2014年上期中にサンプル出荷を始める予定としている。

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