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富士通とパナソニックのLSI事業統合、政策投資銀の200億円出資を得て年内実施で合意三重工場分離は難航中だが

富士通とパナソニックは2014年4月23日、既に基本合意しているシステムLSI事業の統合に関して、日本政策投資銀行からの出資を得て、同年10〜12月に新会社を設立することで基本合意したと発表した。新会社への出資比率(議決権ベース)は、富士通40%、パナソニック20%、日本政策投資銀行40%を予定する。

» 2014年04月23日 16時20分 公開
[EE Times Japan]

 富士通とパナソニックは2014年4月23日、2013年2月に基本合意していたシステムLSI事業の統合に関して、日本政策投資銀行からの出資を得て、2014年10〜12月に新会社を設立することで基本合意したと発表した。新会社への出資比率(議決権ベース)は、富士通40%、パナソニック20%、日本政策投資銀行40%を予定する。

 富士通とパナソニックは2013年2月に、両社のシステムLSI事業の設計開発部門を日本政策投資銀行から出資を受けて設立する新会社(統合新会社)に移管することで基本合意(関連記事:富士通とパナがシステムLSI事業統合を正式発表、ファブレス新会社を設立へ)し、その後、統合新会社の設立時期、出資比率などに関して協議を進めていた。

約100億円の融資枠も

 今回、新たに基本合意した内容は、富士通4割、パナソニック2割、日本政策投資銀行4割という出資比率(議決権ベース)と、2014年10〜12月という統合新会社設立時期。また日本政策投資銀行の出資額は最大200億円とし、併せて最大100億円の融資枠を統合新会社に設定することも決まったとする。富士通、パナソニック、日本政策投資銀行の3社は「新会社は独立した企業として事業運営されることになる」としている。

 さらに統合新会社のCEO(最高経営責任者)に元京セラ社長の西口泰夫氏を招くことでも合意。西口氏に関して、富士通、パナソニック、日本政策投資銀行の3社連名のリリースで「MOT(Management of Technology:技術経営)に明るく、京セラの社長を務めるなど、エレクトロニクス業界のさまざまな事業分野で豊富なマネジメント経験を持っている。西口氏の知見に裏付けられたリーダーシップの下で、新会社がファブレス半導体企業として商品企画、マーケティングおよび開発に経営資源を集中し、グローバルに成長していくことを期待している」とコメントしている。

主体は富士通セミコンダクターか

 今回の事業統合は、製造部門は含まれず、設計開発専門のファブレス形態のシステムLSIメーカーとなる。出資比率やビジネス規模などからみて、統合新会社は富士通の半導体事業会社である富士通セミコンダクターのシステムLSI事業部門がベースになり、そこにパナソニックのシステムLSI事業部門が加わる形になる見込み。なお、統合対象の富士通、パナソニックのシステムLSI事業を単純合算した場合、売り上げ規模は約1500億円、従業員数は約3000人になる。

 3社は、今後、最終的な出資金額や融資枠規模を含めた詳細条件について合意した上で、2014年6月末をメドに最終契約を締結するとしている。

富士通三重工場はTSMC以外のパートナー探して分離へ

 また、2013年2月の基本合意時に富士通が公表した富士通セミコンダクター三重工場(三重県桑名市)をTSMCなどの出資を得て、ファウンドリ企業として分離、独立させる計画について富士通は、「2013年2月から基本的な方針は変わりない。ただ現在は、TSMCに限らず広くパートナーを探している段階」とした。

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